eラーニングシステム開発の完全ガイド

eラーニングシステム開発は、種類と学習設計を押さえ、開発・運用、費用、外注先の順に見ると全体像をつかめます。

企業研修のデジタル化やリモートワークの普及、人材育成投資の増加を背景に、eラーニングの需要は年々拡大しています。開発の概要を短時間で把握したい方の入口として、論点を横断的に整理しました。

各テーマの詳細は、個別の詳細記事へのリンクにまとめています。

・eラーニングシステム開発の進め方

・eラーニングシステム開発でおすすめの開発会社6選

・eラーニングシステム開発の費用相場

・eラーニングシステム開発の発注方法

eラーニングシステムの基本

LMS、LCMS、動画配信型の3方式を、それぞれの管理・配信機能と並べた図です。
選ぶ方式は、研修で扱う範囲に応じて変わります。

定義と種類(LMS、LCMS、動画配信型)

eラーニングシステムは、学習コンテンツを配信しながら、受講者の進捗や成績を管理する仕組みです。

  • LMS(Learning Management System):受講者やコース、進捗、成績を管理する仕組み
  • LCMS(Learning Content Management System):LMSにコンテンツの制作・管理機能を加えたもの
  • 動画配信型:講義動画を中心にコンテンツを配信する形式

LMSは企業研修で最も一般的な選択肢です。たとえば、オープンソースのMoodleは、世界で最も広く使われるLMSの一つです。

動画配信型には、YouTubeのようなUIを持つものが多くあります。近年は、Zoomなどとのライブ配信を組み合わせた形も普及しています。

eラーニングの標準規格には、SCORM(Sharable Content Object Reference Model)とxAPI(Experience API)があります。これらの規格に対応したコンテンツとLMSを組み合わせると、学習データを正確に記録・管理できます。

企業研修・教育でのビジネス価値

導入によるビジネス価値は多岐にわたります。

  • 研修コストの削減
  • 学習機会の均等化
  • 学習データの把握による人材育成の精度向上

集合研修では、会場費、交通費、宿泊費がかかります。さらに、講師費用も発生します。eラーニングへ移行すると、これらの費用を削減できます。研修コストを30〜50%削減した事例を報告している企業もあります。

全国・海外拠点の従業員が同じ質の研修を受けられ、組織全体のスキルレベルをそろえられます。また、受講完了率、テストスコア、学習時間を分析すると、研修効果や学習支援が必要な従業員を把握できます。

コンプライアンス研修では、法令上の研修義務を果たしたことを証明し、記録を保存する必要があります。その際、学習管理機能が欠かせません。

ポイント

研修で主に管理を行うならLMS、コンテンツ制作も含めて扱うならLCMS、講義動画を中心に配信するなら動画配信型が候補になります。どの方式でも、SCORMやxAPIに対応しているかを合わせて見ておくと迷いにくくなります。

開発の進め方の概要

要件定義・企画から設計・開発、テスト・リリースを経て運用・改善へ進む工程図です。
企画で定めた目的が、運用後の改善までつながります。

学習設計から運用までの流れ

各工程は前後でつながっているため、開発全体を段階的に進めます。

  1. 要件定義・企画
  2. 設計・開発
  3. テスト・リリース
  4. 運用・改善

まず目的と対象受講者を明確にし、そのうえで、コンテンツの種類、受講者管理、外部連携の要件を決めます。

学習設計(インストラクショナルデザイン)では、コース構成や学習フロー、評価方法も設計します。続いて、受講者ポータルと管理画面のワイヤーフレームを作成します。動画配信基盤、SCORM対応、スケーラビリティの設計を行い、その後、バックエンドとフロントエンドを実装します。

SCORM/xAPIコンテンツの動作確認、負荷テスト、受入テスト(UAT)を行います。本番リリース後は、受講データを分析してシステムを継続的に改善し、コンテンツも定期的に更新します。

詳しい進め方はeラーニングシステム開発の進め方をご参照ください。

ポイント

各工程はつながっているため、迷ったときは要件定義で決めた目的と対象受講者に立ち返ると、設計から運用までの判断がぶれにくくなります。

費用の概要

開発方式の費用を初期費用、月額費用、3〜5年のTCOの3つの観点に分けた図です。
初期の支出に月々の利用料と長期の総額を重ねて見る構成です。

スクラッチ開発とSaaS活用の費用比較

費用は方式によって変わるため、初期費用と月額費用に加えて、受講者数も踏まえて比べます。

  • スクラッチ開発
  • OSSのMoodleのカスタマイズ
  • SaaS型LMS

スクラッチ開発の場合、初期費用の目安は、受講者数500名以下の小規模で100万〜500万円、500〜5,000名の中規模で500万〜2,000万円、5,000名超で2,000万円以上です。Moodleをカスタマイズすれば、スクラッチ開発の30〜50%程度の費用で構築できるケースもあります。

SaaS型LMSは、初期開発費用がほぼゼロで、月額数万円〜数十万円の利用料がかかります。金額はユーザー数や機能によって変わり、サブスクリプション費用が中心になります。

3〜5年のTCO(総所有コスト)で見ると、受講者数が少ない段階ではSaaS型が効率的です。一方で、数千名超で独自要件も多い場合は、スクラッチ開発の優位性が高まる傾向があります。

費用の詳細はeラーニングシステム開発の費用相場をご参照ください。

ポイント

費用は、初期費用と月額費用に加えて3〜5年のTCOで比べると、受講者数と独自要件の多さによって、有利な方式が分かれます。

外注時のポイント

実績ある開発会社の選び方

外注先を選ぶ際は、eラーニング開発の具体的な実績を確認します。

  • 技術:SCORM/xAPIや動画配信基盤の構築経験
  • OSS:Moodleなど主要なオープンソースの知識
  • 連携:HR系システムとの組み合わせ実績

要件定義の段階から支援するコンサルティング機能があると、固有要件の見落としを減らせます。発注前にRFP(提案依頼書)を作り、3〜5社に相見積もりを依頼することをおすすめします。

提案内容は、技術的な深さと含まれるスコープを見ます。加えて、プロジェクト体制と保守体制も含めて総合的に評価します。

契約では、著作権や知的財産権の帰属、保守契約の内容を文書に明記しておきます。そうすることで、後々のトラブルを防げます。

会社の詳細はeラーニングシステム開発でおすすめの開発会社6選をご覧ください。

発注方法の詳細はeラーニングシステム開発の発注方法をご参照ください。

ポイント

開発会社は、eラーニングの実績と要件定義からの支援の有無で候補を絞り、提案内容、体制、保守まで含めて比べると判断しやすくなります。

まとめ

開発では、システムの種類(LMS/LCMS/動画配信型)の特性を押さえたうえで、SCORM/xAPIや動画配信基盤への対応を見ておきます。スクラッチ、OSSカスタマイズ、SaaSを比べ、適切な開発パートナーを選ぶことも大切です。

このガイドと各詳細記事が、eラーニングシステム開発プロジェクトの参考になれば幸いです。具体的な相談は、eラーニング開発の実績を持つ専門会社に行うのがおすすめです。

株式会社riplaは、コンサルから開発まで一気通貫で支援します。eラーニングシステムの初期相談から、要件定義、開発、運用支援まで対応しています。まずはお気軽にご相談ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。