安否確認システム開発は、まずBCP方針と通知・回答の設計、災害時の可用性を固めます。そのうえで、要件定義から運用・定期訓練まで、工程を順に進めます。
各工程で決めることと確かめることを、工程ごとに見ていきます。全体像は安否確認システム開発の完全ガイドもご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・安否確認システム開発の完全ガイド
・業務システム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「業務システム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
安否確認システム開発とは

安否確認システムは、災害が起きたときに企業が従業員・家族の安否を迅速に把握するためのシステムです。メールやSMSを自動で送信し、届いた回答を集約して管理します。また、BCP(事業継続計画)の一環として、多くの企業が導入を進めています。
既製品のSaaSサービスも多数ありますが、次のような場合には、スクラッチ開発が選ばれます。
- 既存システムとの連携:既存の社員情報システムや勤怠システムと、シームレスに連携したい
- 独自のフロー:独自の通報フローや安否集計ロジックが必要
- 組織体系:グループ企業・子会社を含む独自の組織体系に対応したい
- セキュリティ:セキュリティ要件が高く、クラウドSaaSでは対応できない
安否確認システム開発の全体的な流れ
安否確認システム開発は、次の順に工程を進めます。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- 開発・実装
- テスト
- リリース・移行
- 運用・保守・定期訓練
ステップ1:要件定義
BCPポリシーと安否確認の方針の確認
開発に入る前に、自社のBCP(事業継続計画)における安否確認の方針を確認します。ここで決めた方針が、以降の設計の前提になります。方針には、対象者や発動条件から報告までを一通り含めておきます。
- 対象者:社員・派遣・業務委託・家族
- 発動条件:震度X以上、特定地域での災害など自動発動か、手動発動か
- 安否確認の内容:本人・家族の安否、出社可否、連絡手段
- 回答管理:回答締め切り・リマインドの方針、未回答者への対応フロー
- 報告:集計結果の報告先・レポートフォーマット
連携システムの洗い出し
安否確認システムは、人事・勤怠・グループウェアとの連携が必要になるケースが多くあります。そのため、連携の対象を先に洗い出しておきます。
- 対象システム:連携対象となるシステムの一覧
- 従業員マスタ:取得方法(API連携・データ連携)
- 通知サービス:メール配信システム・SMS配信サービスの選定
非機能要件の定義
安否確認システムには、災害時の高負荷にも耐えられる可用性とパフォーマンスが求められます。そのため、可用性や性能などの目標を、開発の前に決めておきます。
- 可用性:平時・災害時ともに99.9%以上
- 性能:全従業員への通知を5分以内に完了
- セキュリティ:個人情報の暗号化とアクセス制御
ステップ2:基本設計
システムアーキテクチャの策定
本社のオンプレサーバーだけに頼ると、大規模災害時にシステムそのものが障害を起こすおそれがあります。
クラウドインフラ(AWS・Azure・GCP)上でのマルチリージョン構成を採用することが推奨されます。
データ設計の基本方針
基本設計では、安否確認で扱うデータの構造を決めます。
- 従業員マスタ:外部連携または独自管理
- 安否確認イベント:発動ごとの情報
- 回答データ:従業員からの回答内容
- 組織・グループ:組織の構成
ステップ3:詳細設計

安否確認通知の設計
通知の設計では、届け方と文面を決めるほか、大量に送るときの配信方法も決めます。
- 通知チャネルの設定:メール・SMS・プッシュ通知
- 文面:通知テンプレートの作成
- 大量通知時:配信キューによる送信の制御
回答受付の設計
回答受付では、従業員がどの手段で、何を答えるかを決めます。
- 受付方法:Web、メール返信、スマートフォンアプリ
- 回答項目:本人安否・家族安否・負傷の有無に加えて、出社可否や現在地
- 認証方式:ログイン認証またはURLトークン認証
集計・レポートの設計
集計・レポートでは、回答の進み具合や組織・地域ごとの状況を確認できるように設計します。
- 進捗:回答率と未回答者一覧
- 集計単位:組織別や地域別の状況
- 管理画面:管理者向けダッシュボード
ステップ4:開発・実装
通知エンジンの実装
通知エンジンは安否確認システムの中核です。
数千〜数万人への一斉通知には、メッセージキューを使う非同期処理が一般的で、SQSやRabbitMQなどを活用して短時間で大量の通知を処理します。
回答インターフェースの実装
スマートフォンでの操作が中心となるため、モバイルファーストのUIを設計します。また、ネットワーク状況が悪くても最低限の回答ができるよう、ページを軽量にします。
自動発動機能の実装
気象庁の緊急地震速報APIや、自社で設定した地域・震度の条件をもとに、自動で発動する機能を実装します。
管理者向けダッシュボードの実装
管理画面では、回答状況をリアルタイムに把握できるようにします。
地図上で被災状況を見える形にする機能も有用です。
ステップ5:テスト

機能テスト
各機能は、正常に動く場合と異常が起きた場合の両方で確かめます。
負荷テスト
全従業員への一斉通知や同時アクセスに対して、パフォーマンスを検証します。とくに大企業では、数万人への同時通知を想定したテストが欠かせません。
障害耐性テスト
一部のシステムが障害を起こした場合でも、通知と回答受付を続けられるかを検証します。
訓練シナリオでのUAT
実際の安否確認訓練を想定したシナリオでUATを行い、管理者と従業員の両方の立場で動作を確かめます。
ステップ6:リリース・移行
既存データの移行
従業員マスタのデータを新システムへ移行します。移行後は、連携先システムとの同期設定を確かめます。
社内告知・操作説明
全従業員に、安否確認システムの使い方を周知します。なお、URLトークン認証を使う場合は、回答方法を事前に案内します。
ステップ7:運用・保守・定期訓練
定期的な安否確認訓練
年1〜2回の訓練で、システムの動作を確かめ、従業員の操作習熟を図ります。また、訓練の結果をふまえて改善を続けます。
従業員マスタの最新化
入退社や異動、連絡先の変更が発生したときに、従業員マスタを更新する運用フローを整備します。
システムの冗長性・可用性の監視
24時間365日の監視体制を作ります。また、障害が起きた際に速やかに復旧できるよう、手順も用意します。
安否確認システム開発を成功させるポイント
成功させるには、災害時の構成や通知・回答の方法、運用後の改善を押さえておきます。
- クラウド・マルチリージョン構成を採用する:本社の被災にも備える構成
- 通知の多チャネル化:メール・SMS・アプリ通知の組み合わせ
- 回答インターフェースをできる限り簡略化:災害時の混乱を考慮した設計
- 定期訓練で継続的な改善:リリース後の運用まで含めた取り組み
まとめ
安否確認システム開発は、BCP対策として非常に重要な取り組みです。まず、要件定義の段階で、自社のBCP方針との整合性を確かめます。
システム設計では、高可用性・多チャネル通知・シンプルな回答UIを重視することが成功の鍵です。定期訓練を通じた継続的な改善にも、忘れずに取り組みます。
▼関連記事
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
