ITシステム不具合対応の費用は、契約形態、不具合の優先度、調査や検証の範囲によって決まり、1件3万円〜月額180万円まで幅があります。特に優先度による差が大きく、同じ不具合でもトリアージの結果で費用が変わります。全体像は「ITシステム不具合対応の完全ガイド」もご覧ください。
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ITシステム不具合対応の費用が決まる仕組み

ITシステム不具合対応の費用は、作業時間だけでなく重要度と緊急度でも変わります。優先度に応じて、対応に当たる人員のスキルと対応速度が違ってくるためです。
トリアージ(優先度判定)による費用の差
トリアージは、重要度と緊急度から不具合の対応順位を決める作業です。ここで決まる優先度によって、対応に投入する人員と対応速度が変わり、費用の差になります。
- 重要度:ビジネスやシステムへの影響の大きさ
- 緊急度:対応をどれだけ急ぐべきかの度合い
- 優先度:2つの評価を合わせて決まる対応順
たとえば、決済機能が止まる不具合は重要度と緊急度がともに最高クラスで、管理画面の文字ずれは両方とも低い不具合です。
高優先度では、SLA(サービス品質保証)の下で上級エンジニアが即時投入され、検知から15分以内の連絡と1時間以内の目標復旧が求められます。一方で、低優先度の不具合は定期メンテナンスでまとめて処理されるため、単価を抑えやすくなります。実際、同じ不具合1件でも、トリアージの結果次第で費用が10倍以上変わることがあります。
費用を構成する3つの基本要素
費用の内訳を見ると、どの工程に工数がかかるかが分かります。基本要素は次の3つです。
- 切り分け・調査:事象の真偽、再現性、影響範囲の特定
- 修正・対応:原因を取り除く改修と、データの補正
- 検証・リリース:デグレードがないかの確認と、環境への反映
調査にかかるコストが全体の半分近くを占めるケースもあります。たとえば「画面が表示されない」という1行の報告でも、原因がサーバー側かは分かりません。
原因がサーバー側かを確かめるには、通信環境か特定のブラウザかを調べる必要があり、そのぶん工数がかかります。そのため、見積書では修正費用とあわせて、調査費用が積算されているかも見ておくとよいでしょう。
契約形態別の費用相場
契約形態は、スポット、月額保守、準委任(SES)の3つに分けられます。不具合の発生頻度や緊急性に合わせて選ぶことが、コストを抑える鍵になります。
スポット契約(都度対応)の相場
スポット契約は、不具合が発生するたびに都度依頼する形態です。発生頻度が低い企業に向いています。
- 軽微な不具合:表示崩れや動作の小さな乱れで、1件3万円〜10万円です。
- 中程度の不具合:機能の一部が動かない場合で、10万円〜30万円です。
- 複雑な不具合:調査に時間がかかる場合で、30万円〜100万円です。
エンジニアの作業単価は、1人月60万円〜120万円が一般的です。時間単価に直すと、4,000円〜8,000円ほどになります。
継続的な保守契約がないベンダーに依頼すると、内部構造を把握するキャッチアップの工数が上乗せされます。そのため、突発的な依頼は割高になりがちです。
年に数回程度の突発的な依頼なら合理的ですが、月に複数回起きるようなら、発注側は月額契約を検討します。
月額保守契約の相場
月額保守契約は、一定の対応工数の枠をあらかじめ確保しておく形態です。
- 小規模システム:月額5万円〜15万円が目安です。
- 中規模システム:月額15万円〜50万円が目安です。
- 大規模・基幹システム:月額50万円〜100万円以上が目安です。
一般的に、年間の保守費は開発費用の5%〜15%程度とする慣行があります。たとえば1,000万円で開発した場合は、年間50万円〜150万円が一つの基準になり、月額に換算すると約4万円〜12万円です。
月額保守の利点は、迅速な対応を受けられることと、予算が固定されて管理しやすいことです。
契約を結ぶ際は、月間の対応工数の上限と、対応時間帯が契約に含まれるかを確認しておきましょう。対応時間帯は、平日日中のみか24時間365日かで異なります。24時間365日の即時対応を求めると、費用は2倍〜3倍に跳ね上がります。
発注側が、自社の不具合がどの時間帯に致命的かを見極め、過剰なSLAを避けることが欠かせません。
準委任(SES)契約の相場
準委任契約は、エンジニアの稼働時間を確保して、不具合対応と改善を継続して進める形態です。
- 不具合対応:継続的な修正と根本原因の解消
- 機能改善:不具合対応と並行して進める改善
- 技術的負債の解消:不具合が出にくいシステムを目指す取り組み
費用はエンジニア1人あたり月額60万円〜120万円です。シニアクラスや特定領域の専門家になると、月額120万円〜180万円になることもあります。
不具合が頻繁に発生し、機能改善や技術的負債の解消も進めたい企業に適しています。特に準委任では、原因を取り除く作業から再発防止策の実装まで一貫して任せられます。
一方で、スポットや月額保守は、目の前の不具合を直すことに費用を使います。準委任なら、不具合が出にくいシステムづくりに人員を振り向けられます。
長期の保守コストを下げたい場合は、目先の単価が高くても、恒久対策のほうが有利なことがあります。
優先度別に見る費用の違い
トリアージで決まる優先度は、費用の積算に直結します。高・中・低の3段階で費用感を見ると、見積もりが妥当かを判断する材料になります。
高優先度(緊急対応が必要な不具合)
高優先度と判断される代表例を見ると、緊急対応が必要な範囲が分かります。
- 決済停止:事業に直結するため、即時対応の対象
- データ破損:影響が大きく、緊急度も高い不具合
- 全ユーザーのログイン不可:全体に影響するため、最高優先度
連絡は検知から15分以内、暫定復旧は1時間以内が求められます。そのため、上級エンジニアが他の作業を中断して投入され、厳しいSLAに対応します。
夜間や休日は通常単価の1.5倍〜2倍になり、1件30万円〜100万円規模になることもあります。それでも、放置による機会損失や信用の毀損を避けるため、必要な費用をかけて迅速に対応します。なお、致命的な不具合が起こりうる場合は、月額保守でSLAを確保するほうが安いことがあります。
中・低優先度の不具合のコスト
中・低優先度は、代替手段の有無と発生頻度を見て対応時期を決めます。費用を抑える判断材料は、次の2点です。
- 中優先度:業務に支障はあるものの、代替手段がある不具合
- 低優先度:影響が軽微で、発生頻度も低い問題
中優先度は、機能が使いにくい、または特定の条件でエラーが出る状態です。こうした場合の目安は、1件5万円〜20万円です。
たとえば軽微な表示崩れは、定期メンテナンスやリリースで複数件をまとめれば、1回の作業枠で処理できます。
検出者バイアスとは、発見者が見つけた不具合を高く評価しがちな傾向です。すべてが高優先度になると費用が膨らむため、PMや判定会議で優先度を合意しておきます。
たとえば、週1回の不具合判定会議だけでも、緊急割増の発生を大きく減らせます。
見積もりの内訳と費用を左右する要因

見積書は総額だけでなく、内訳とシステムの状態を見て判断します。内訳の積み方によっては、同じ不具合対応でも金額が大きく変わります。
見積もりに含まれる主な項目
見積書の工数がどこに配分されているかを確認すると、妥当性を判断しやすくなります。
- 調査・切り分け費:不具合の原因と影響範囲を明らかにする作業
- 修正・実装費:プログラムの改修と、データの補正
- テスト・検証費:改修によって生じる別の不具合の有無を確かめる作業
- リリース・反映費:改修内容を利用環境へ移す作業
- ドキュメント作成費:対応内容を記録する作業
健全な見積書では、これらの工数が項目ごとに示されています。一方で、「不具合対応一式」だけの見積書は費用の根拠が不透明で、内訳が不明確だと後から追加請求が発生するリスクがあります。
回帰テストは、修正による別の不具合を防ぐ重要な工程です。検証の工数を削った見積もりは、修正が新たな不具合を生むリスクを抱えます。
安さだけで選ぶとやり直しで費用が増えます。そのため、見積書の検証工数を確認する必要があります。
費用が高くなる要因と抑える要因
費用の増減要因を分けて見ると、発注前に減らせる調査工数が見えてきます。
- 文書の未整備:設計書や構成図がなく、調査工数がかさむ状態
- システムの複雑化:長年の改修で構造把握に時間がかかる状態
- ベンダーの変更:開発元と別会社への依頼で費用が上乗せされること
- 再現性の低さ:特定条件でしか起きない事象
- 発生情報の提供:環境や手順の共有による調査工数の削減
設計書や構成図がなければ、ベンダーはコードを読み解くところから始めます。別ベンダーへの依頼では、さらに、システムの内部構造を把握するキャッチアップ工数も発生します。また、再現性の低い不具合は、原因特定に時間を要するため割高になります。
調査工数を減らすには、発注側がいつ、どの画面で、何をして、どうなったかを整理して伝えることが大切です。ログやエラーメッセージのスクリーンショットを添えるのも有効です。発注側の情報提供の質は、そのまま見積金額に反映されると考えられます。
不具合対応の費用を最適化する考え方

費用の最適化の本質は、必要な対応には投資し、不要な対応は抑えるメリハリにあります。その判断には、「対応しないバグ」を決めることも含まれ、目先の支出だけでなくトータルコストで見ることが欠かせません。
「対応しないバグ」を決める判断軸
不具合を直すかどうかは、修正の費用対効果で判断します。
- 発生頻度:極端に低い不具合の、対応時期の見直し
- 影響度:軽微なものに、高額な調査をかけないこと
- 費用対効果:修正費用と得られる効果の比較
発見された不具合をすべて高優先度にはせず、直さないと決める判断も行います。たとえばソーシャルゲームでは、ユーザーが得をする軽微なバグをあえて直さないことがあります。修正コストと効果を比べたうえで、判定会議で「今は対応しない」と合意します。この判断ができる体制の有無で、年間の不具合対応費用は大きく変わります。
恒久対策への投資による長期コストの抑制
中長期の費用を下げるには、目先の対応だけでなく、恒久対策への投資も欠かせません。
- 再発する不具合:対症療法の費用が積み上がること
- 根本原因の改修:一度の投資で再発を防ぐこと
- 社内合意:恒久対策をコスト削減策として示すこと
同じ不具合が繰り返すなら、根本原因を取り除く改修によってトータルコストを下げられます。ただし、恒久対策は新機能開発の圧力に押し出され、後回しになりやすい課題です。そこで、再発する不具合の年間コストを数値にして、投資がコスト削減策だと経営層に示すとよいでしょう。費用の最適化は、技術の判断であると同時に、社内の合意をつくる問題でもあります。
riplaへの不具合対応の費用相談
費用は、契約形態の選び方やトリアージの精度によって大きく変わります。そのため、自社に合う契約形態や見積書の妥当性は、システムの状態と業務への影響を踏まえて判断する必要があります。
riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、成果の創出と定着を支援します。
営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があります。さらに、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制も整えています。
不具合対応の費用感や最適な契約形態でお悩みの場合は、ご相談ください。
不具合対応に関する関連記事
費用以外の観点も検討したい方は、進め方の全体像から発注方法まで、目的に応じて関連記事を参照できます。
- ITシステム不具合対応の進め方/やり方/流れや方法・手法・工程・手順
- ITシステム不具合対応でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
- ITシステム不具合対応の発注/外注/依頼/委託方法について
- ITシステム不具合対応の完全ガイド
まとめ
費用は、契約形態と不具合の優先度という2つの観点で決まります。スポットは1件3万円〜100万円、月額保守は小規模で5万円〜15万円が目安です。
月額保守は大規模で50万円〜100万円以上、準委任は1人あたり月額60万円〜120万円が目安です。
同じ不具合でも優先度で費用が10倍以上変わるため、トリアージが費用管理の要になります。費用を最適化するには、検出者バイアスを排し、判定会議で優先度を合意します。
発注側は、「対応しないバグ」を決めたうえで、再発する不具合には恒久対策へ投資します。
見積書では、調査・修正・検証の工数を確認し、過剰なSLAを契約していないかを見直します。そのうえで、自社に合う契約形態と費用を見極め、コストを抑えながら必要な対応品質を確保します。
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
