BtoC通販/ECサイト開発の完全ガイド

BtoC通販/ECサイトの開発では、事業の目的と販売方法に合う構築方式を選び、公開後の運用や改善まで見据えて計画することが大切です。

経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」では、2024年の国内BtoC-EC市場規模が約24.8兆円で、前年比約9.0%の成長でした。物販系ECのEC化率も10%を超え、食品・飲料、アパレル、化粧品、家電など、あらゆる業種でオンライン販売の重要性が高まっています。コロナ禍を契機としたオンラインショッピングの習慣化は、一過性のブームではありません。

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BtoC通販/ECサイト開発の進め方

ECサイト開発の要件定義・企画、設計・開発、テスト・リリースの3段階を矢印で示した図。
企画で定めた要件が、設計と検証を経て公開へつながります。

BtoC通販/ECサイト開発を成功させるには、プロジェクト全体の流れをつかみ、各フェーズで押さえるべきポイントを事前に理解しておくことが不可欠です。ECサイト開発は「要件定義・企画」「設計・開発」「テスト・リリース」の3つのフェーズで進みます。

期間は構築方法によって変わります。ASP・SaaS型は1〜3か月、オープンソース・パッケージ型は3〜9か月で、フルスクラッチ型は9〜18か月が一般的な目安です。

要件定義・企画フェーズ

このフェーズでは、事業の方向性と初期リリースに含める機能の範囲を先に決めます。

  • コンセプト:事業戦略と連動したEC事業のコンセプト
  • MVP:初期リリースに必要な機能と、段階的に追加する機能の分け方
  • 第2フェーズ:基本的なカート機能と決済を先行し、AR機能は後の段階に回す

開発の成否を分けるのは、この要件定義・企画フェーズです。「どのようなターゲット層に、どのような商品を、どのような価値提案で届けるのか」を明確にすると、サイト全体の設計方針が定まります。

機能の絞り込みでは、MVP(Minimum Viable Product)の考え方を取り入れます。初期リリースに本当に必要な機能を見極め、残りを段階的に追加すると、開発期間とコストを適正に管理できます。

ある家具EC事業者では、初期リリースの範囲を絞ったことで、当初予定より3か月早くサイトをローンチでき、早期に売上を立て始めることに成功しました。

設計・開発からテスト・リリースまでの工程

設計からリリースまでの段階では、使いやすさと検証の漏れを確認します。

  • UI・UXデザイン:ワイヤーフレームの段階でのユーザーテスト
  • API連携:決済代行サービスとの接続とPCI DSS準拠
  • テスト:決済、在庫、負荷、表示、SEOの各テストの網羅

設計・開発フェーズでは、UI・UXデザインが売上に直結するため、特に注力すべき領域です。テストで見つかった課題を設計に反映し、購入完了までのステップ数を減らす変更につなげます。その結果、コンバージョン率の大幅な向上が期待できます。

バックエンドでは、決済代行サービスとのAPI連携を前提に、PCI DSS準拠を見据えた設計が不可欠です。テストでは、3Dセキュア2.0対応を含む決済テストを行い、在庫連動と負荷のテストも実施します。さらに、各デバイス・ブラウザでの表示とSEOの観点も、テストで網羅します。

リリースでは、まず社内関係者やモニターユーザーを対象にソフトローンチを行い、全面公開の前に1〜2週間の検証期間を設けるのが望ましいです。

▶ 詳細はこちら:BtoC通販/ECサイト開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順をご覧ください。

ポイント

進め方で迷ったときは、構築方法によって期間が大きく変わる点を踏まえ、事業の目的に合う方式を先に決めます。初期リリースの機能は、MVPの考え方で絞り込みます。

BtoC通販/ECサイト開発でおすすめの開発会社と選び方

BtoC通販・ECサイト開発を外部に委託する際は、開発パートナーの選定がプロジェクトの成否を大きく左右します。ECサイト開発はWebサイト制作とは本質的に異なり、EC特有の要件は多岐にわたります。決済機能、在庫管理、物流システムとのリアルタイム連携が必要で、さらに高度なセキュリティ対策やマーケティングツールとの統合も求められます。

ECサイトのリニューアルを行った企業のうち約30%が「開発会社の選定を誤った」と感じている、という調査結果があります。そのため、短期的な開発費用だけでなく、中長期的なパートナーシップの観点で選定することが大切です。

候補となる開発会社は6社あり、支援範囲と得意分野を比べて選びます。

  • 株式会社ripla・株式会社ecbeing:コンサルから開発までの支援と、国内EC構築の実績
  • W2株式会社・株式会社インターファクトリー:D2C・定期通販とebisumartの特徴
  • 株式会社コマースOneデジタル・株式会社フューチャーショップ:大規模ECと中小ECへの対応領域

株式会社ecbeingは、国内のECサイト構築で実績がトップクラスです。株式会社インターファクトリーは、クラウド型ECプラットフォーム「ebisumart」を展開します。

得意とする事業規模や構築方法、業種は会社ごとに異なります。そのため、自社の事業フェーズや要件に合う会社を選びます。

パートナー選定で重視すべきポイント

候補企業は、実績だけでなく運用体制まで確認します。

  • 開発実績:EC領域での開発実績と、同じ業種・商材カテゴリでの経験
  • 事業理解:月間売上規模、SKU数、利用プラットフォーム
  • 運用体制:SEO対策、CRO、アクセス解析、SLA、保守対応の体制

開発会社を選ぶ際にもっとも重視したいのは、EC領域での開発実績と、自社と同じ業種・商材カテゴリでの経験です。

候補企業には、過去のECサイト構築事例を具体的に示してもらいます。マーケティングの知見があるかも、大切な判断材料になります。

BtoC-ECサイトは、作ることより売ることがゴールです。このため、開発後の集客や改善まで対応できる会社が理想的です。

さらに、ECサイトは24時間365日稼働するビジネスインフラです。障害時の対応フローも、事前に確かめておきます。保守・運用の段階まで見据えて、開発パートナーを選ぶことが大切です。

▶ 詳細はこちら:BtoC通販/ECサイト開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方をご覧ください。

ポイント

開発会社は、EC領域の開発実績と、自社と同じ業種・商材カテゴリの経験を最も重視して選びます。短期の開発費用だけでなく、保守・運用まで見据えた中長期の関係で判断します。

BtoC通販/ECサイト開発の費用相場

ASP・SaaS型、オープンソース型、パッケージ型、フルスクラッチ型の初期費用相場を4枚のパネルで示した図。
構築方法が大規模になるほど、初期費用の目安も上がります。

BtoC通販・ECサイトの開発費用は、構築方法や必要な機能、デザインの品質によって大きな幅があります。外部システムとの連携範囲も、金額に影響します。

適正な予算を立てるには、初期費用だけでなく、ランニングコストや隠れたコストも含めた3年間のTCO(総保有コスト)で判断します。

構築方法別の費用相場と費用を左右する要因

費用は、初期費用と運用後の支出を分けて確認します。

  • ASP・SaaS型:Shopify、BASE、STORESなどで構築する方式
  • オープンソース型:EC-CUBE、Magentoなどで構築する方式
  • パッケージ型・フルスクラッチ型:ecbeing、W2 Unified、ebisumartなどとの比較

初期費用の相場は、ASP・SaaS型で0〜30万円、オープンソース型で100万〜500万円です。パッケージ型は500万〜3,000万円、フルスクラッチ型は3,000万〜1億円以上となります。

費用を大きく左右するのは、デザインの品質とオリジナリティです。テンプレートベースの場合は20万〜50万円、フルオリジナルの場合は100万〜300万円以上が目安です。

決済機能の種類と数、外部システムとの連携も費用に影響します。1つの連携につき50万〜200万円が目安です。さらに、SKU数、商品データの複雑さ、多言語・多通貨対応の有無も確認します。

ランニングコストと隠れたコスト

運用後に続く支出と見落としやすい費用を分けて確認します。

  • 利用料・サーバー:プラットフォーム利用料とサーバー費用
  • 保守・決済:保守・運用費用と決済手数料
  • 隠れたコスト:コンテンツ制作、データ移行、改善開発の費用

運用開始後の主なランニングコストは、月額5,000円〜50万円が目安です。

保守・運用費用は、初期開発費用の15〜20%が年間の目安です。決済手数料は、クレジットカードで売上の3.0〜3.6%かかります。

見落としがちな隠れたコストは、商品撮影やライティングなどのコンテンツ制作費用です。たとえばSKU1,000点では、300万〜500万円かかります。

ほかにも、データ移行費用は50万〜200万円で、教育・研修費用やリリース後の改善開発費用もあります。改善開発費用は月額20万〜50万円です。これらも予算に組み込んでおく必要があります。

見積もりを取るときは、RFPを作成したうえで3〜5社から提案を受けます。金額に加えて、見積もりの内訳の粒度と対応範囲も比べます。追加費用の発生条件まで、丁寧に確認してください。

▶ 詳細はこちら:BtoC通販/ECサイト開発の見積相場や費用/コスト/値段についてをご覧ください。

ポイント

費用は、初期費用に加えて、ランニングコストや隠れたコストを含む3年間のTCOで判断します。金額の幅は構築方法や連携範囲で大きく変わるため、見積もりは内訳の粒度と対応範囲も比べます。

BtoC通販/ECサイト開発の外注・発注方法

外注時の要件定義、運用保守体制、予算超過とスケジュール遅延をチェック項目として並べた図。
契約前の要件整理と運用計画が、進行中のリスク把握にも役立ちます。

BtoC通販・ECサイト開発を外部に委託する場合は、発注先の選定から契約形態の決定、開発の進行管理まで、多くのステップを正しく踏む必要があります。

外注先は、大手SIer、EC専門の開発会社、Web制作会社、フリーランスエンジニアの4タイプに大別されます。最適な発注形態は、自社のEC事業の規模と必要な機能によって異なり、予算も発注形態を左右します。

発注の流れと契約形態

外注では、準備から契約、開発管理まで順に確認します。

  • 発注準備:要件整理とRFP作成
  • 選定・契約:ベンダー選定と契約
  • 進行管理:開発の進行管理

RFPには、ターゲットユーザーと事業目標を盛り込みます。必要な機能一覧は優先度付きで記載し、決済方法、外部システムとの連携要件、非機能要件も書き添えます。

仕様が確定している部分は請負契約、要件が流動的な部分は準委任契約で対応します。請負契約は成果物の完成を約束し、準委任契約は稼働時間ベースです。このハイブリッド型は、リスクとコストのバランスに優れています。

契約書には、ソースコードの著作権帰属、瑕疵担保責任の範囲と期間、中途解約条件を必ず明記しておくことが欠かせません。

外注で失敗しないための注意点

外注時は、要件・選定・運用の各段階でリスクを確認します。

  • 要件と選定:要件定義の曖昧さ、丸投げ、費用だけの選定
  • 運用保守:リリース後の運用保守体制を、初期段階から検討
  • リスク管理:予算超過、スケジュール遅延、月額費用の確認

ECサイト開発の外注では、リリース後の運用保守体制を検討しないままにすることも、失敗のパターンです。

IPAの調査では、システム開発プロジェクトの約30%が予算超過を、約40%がスケジュール遅延を経験しているとされています。

対策の一つは、RFPを丁寧に作成することです。そのうえで、社内にプロジェクトオーナーを置き、週次で進捗を確認します。各フェーズにはゲートレビューも導入します。

運用保守の月額費用も、初期の予算計画に含めます。相場は月額10万〜50万円です。

▶ 詳細はこちら:BtoC通販/ECサイト開発の発注/外注/依頼/委託方法についてをご覧ください。

ポイント

外注では、要件定義の曖昧さや丸投げ、費用だけの選定を避けて、RFPを丁寧に作ります。契約は、仕様が確定している部分を請負、流動的な部分を準委任で分けて考えます。

まとめ

BtoC通販/ECサイト開発は、事業戦略の立案からサイト設計、構築、運用、改善まで多岐にわたる工程を含む一大プロジェクトです。成功の鍵は、まず自社のビジネスモデルとターゲット顧客に最適なECサイトの形態と構築方法を見極めることにあります。

開発の進め方では、要件定義・企画、設計・開発、テスト・リリースの各フェーズを着実に進めることが大切です。費用面では、初期開発費だけでなく、ランニングコストや隠れたコストも確認します。

TCOで判断し、3年から5年の中長期的な視点で投資対効果を評価してください。開発会社の選定では、EC領域での実績とマーケティングの知見を重視し、保守・運用フェーズまで見据えたパートナーシップを目指します。

発注時には、RFPの作成、契約形態の選択、ソースコードの権利帰属など、事前の準備と取り決めを怠らないことが、後のトラブルを防ぎます。

ECサイトは「リリースしてからが本番」であることを忘れないでください。そのため、データに基づいた継続的な改善を開発段階から計画します。

さらに、集客施策も計画的に実行します。こうした取り組みが、EC事業の長期的な成功を支える基盤となります。

各テーマについては、より詳しい個別記事をご用意しています。具体的な行動に移る際には、あわせてご覧いただくと役立ちます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。