介護記録システム開発の完全ガイド

介護記録システムは、サービス種別、必要な連携範囲、導入形態の3点を整理して選ぶと、記録から請求までの業務をつなげられます。

主要機能、導入形態、費用相場の3つを押さえると、発注先との打ち合わせで比べる軸を持ちやすくなります。各テーマの詳細は関連記事で扱っています。

▼関連記事一覧
・介護記録システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・介護記録システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・介護記録システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・介護記録システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

介護記録システムの概要

介護記録システムは、メモアプリとは違って、利用者の基本情報や日々のケア記録を電子化し、必要な職員が確認できるシステムです。記録を後工程へつなぐことで、同じ情報を転記する手間を減らせる点に価値があります。

紙・Excelを置き換えるだけではない役割

紙やExcelの記録を後工程へつなぐには、次の機能が要ります。

  • 利用者情報:台帳、要介護度、既往歴、服薬、家族・緊急連絡先
  • 日々のケア:食事、排泄、入浴、睡眠、服薬、水分、バイタル、リハビリ、経過、申し送りを記録し、タイムラインで確認
  • 事故などの記録:事故・ヒヤリハット、身体拘束、虐待防止、苦情・相談を集計できる製品もある
  • 後工程との連携:ケアプラン、実績、介護報酬請求、LIFE提出、家族向け連絡帳へ再利用
  • 比較の視点:機能数より、自社の記録がどの後工程につながるかを確認

記録を帳票へ自動反映できれば、月末の転記や入力漏れを抑えられます。

導入で変わる業務と期待できる効果

導入の効果は、入力時間の短縮に加えて、申し送りと記録の書き方にも及びます。たとえば、夜勤から日勤への申し送りを同じ画面で確認でき、記録の書き方もテンプレートでそろえられます。

訪問先やフロアでタブレットから入力すれば、事務所に戻ってから記録する負担も減ります。さらに、管理者は未入力や重要な変化を把握しやすく、家族への説明や事故後の事実確認にも活用できます。

主要機能とサービス種別別の選び方

選定では、サービス種別と入力場所を分けて考えます。訪問、通所、入所では記録項目や確認する職種が異なるため、設定や追加機能によって使い勝手も変わります。

デモでは、機能一覧を確かめるのに加えて、実際の一日の業務を最初から最後まで再現できるかを見ます。

全サービスで確認したい共通機能

共通機能は、日々の記録と管理に欠かせない範囲で比べます。

  • 記録と共有:利用者台帳、提供記録、申し送り、検索、帳票出力
  • 安全な管理:権限管理、操作履歴、バックアップ
  • 入力と端末:自由記述、写真、音声、定型文、タブレット操作

タブレット画面が、現場の手袋や片手の操作に合うかを実機で試します。入力途中で画面を閉じたときにデータが消えないかも、あわせて確かめます。

訪問介護で重視する機能

訪問介護では、訪問予定、サービス内容、提供時間を確認します。あわせて、指示・申し送りと、利用者宅でのスマートフォン入力も見ます。

通信が不安定な場所では、入力を一時保存し、復旧後に安全に再送できる仕組みが必要です。位置情報や提供証明を使う場合は、取得範囲と保存期間、同意の扱いを確かめます。利用者と職員への説明も、あわせて必要です。

記録が実績、請求、サービス提供責任者の確認までつながれば、帰所後の二重入力を減らせます。

通所・入所施設で重視する機能

通所介護では、来所時のバイタル、送迎、食事・入浴・機能訓練を確認します。連絡帳、欠席や振替、実績・請求との連動も、あわせて確かめます。

入所施設では、24時間の経過記録と夜勤の申し送りが特に大切です。食事・排泄・睡眠と服薬の記録も欠かせません。看護・リハビリとの共有や、事故・見守りの記録も確認します。

施設の種類が増える法人では、共通マスタを使いながら、サービスごとの画面と帳票を分けられるかを見ます。

ポイント

迷ったときは、訪問・通所・入所のどこで記録するかを先に決め、その業務を一日の流れどおりに再現できるかで比べると判断しやすくなります。

クラウド・パッケージ・個別開発の違い

導入形態は、クラウド型サービス、介護業界向けパッケージ、個別開発や既存システムとの連携開発に分かれます。

導入形態を選ぶ前に、業務を標準機能に合わせられるかを考えておきます。独自の記録様式を残すかどうか、既存の請求・会計・見守り機器と連携するかも、あわせて決めます。

クラウド型サービスが向くケース

クラウド型は、自社でサーバーを構築せず、月額料金で始められる形態です。制度改定に合わせた更新を受けやすいため、1拠点から始めたい事業所や、紙から段階的に移行したい事業所に向いています。

月額料金は、職員数、利用者数、拠点数に応じて決まり、オプションの内容によっても変わります。端末とWi-Fi、データ移行は別料金になることもあります。研修や帳票変更も、別料金になる場合があるため、見積もりで内訳を確かめます。

解約時にデータをどの形式で受け取れるかは、契約前に確かめておきます。

パッケージ型が向くケース

パッケージ型は、業界で共通する業務を整備したい場合に適しています。介護保険の運用や計画、記録などが、その対象です。実績や請求も含まれます。

複数サービスを持つ法人にとっては、事業所間でマスタや運用ルールをそろえやすい点が利点です。ただし、標準画面に合わない独自帳票を多く残すと、追加設定やカスタマイズで費用と保守の負担が膨らみます。そのため、標準機能と追加開発の範囲を一覧にして示してもらいます。

個別開発・連携開発が向くケース

個別開発は、独自のケア記録や複数拠点の共通マスタを業務に合わせたい場合の選択肢です。既存基幹システムやセンサー、音声入力との連携が必要な場合も、個別開発が候補になります。

自由度が高い一方で、要件定義やテスト、制度改定への対応は、自社と開発側で継続して担うことになります。障害対応やセキュリティ更新も、同じ体制で続ける必要があります。

まず、記録、申し送り、権限などに絞った最小範囲のMVP(Minimum Viable Product)を作ります。現場で検証したあとに、請求や機器連携へ広げるのが安全です。

ポイント

業務を標準機能に合わせられるなら、クラウド型やパッケージ型が候補になります。独自の記録様式や既存システムとの連携が多く必要なら、個別開発を検討します。

介護記録システムの導入・開発の進め方

介護記録システムの導入を、現場観察から要件定義、PoCと移行テスト、本稼働と効果測定へ進む流れで示した図。
現場での検証を挟みながら、段階を追って運用へつなぎます。

介護記録システムの導入・開発は、製品を契約したあとも、現場に定着させるまで続きます。

課題の数値化と現場ヒアリングから始めて、要件整理、デモ、PoCへと進みます。その後、移行テスト、研修、本稼働を経て、効果測定までを計画します。

現場で当たり前になっている事柄を要件に書き出さないと、入力項目が増えて、紙の運用が残りやすくなります。

課題の数値化と現場観察

紙やExcelの帳票を集め、誰が、いつ、どこで何を記録し、誰が確認してどの帳票へ転記するかを一覧にします。

導入前の基準値は、記録1件あたりの時間、1日あたりの転記件数、月末の残業時間で押さえておきます。未入力率や請求前の修正件数も、基準値として残しておきます。

現場職員、サービス提供責任者、看護職が業務フローを確かめ、管理者と請求担当とともに、残す記録と廃止する記録を決めます。

要件定義と連携範囲の確定

利用者ID、職員ID、サービスコードなど、システム間で受け渡す情報を書き出します。予定・実績や帳票、請求に加えて、LIFEやケアプランデータ連携も対象になります。

連携方式は、CSVで足りるか、APIによるリアルタイム連携が必要かで分けて考えます。データ項目と更新タイミングを決めたうえで、エラー時の責任者を定めます。さらに、再送方法も決めておきます。

個別開発では、機能の要件に加えて、権限や監査ログ、バックアップも要件書に含めます。障害時の業務継続や解約時のデータ返却も、同じ要件書に書いておきます。

小規模PoCとデータ移行テスト

最初は、1サービス・1拠点・1記録業務に絞ってPoCを実施すると、全拠点へ広げる前に検証できます。実際の職員が数週間使い、入力時間と未入力率を測ります。申し送り時間や転記件数、問い合わせ数も記録します。

台帳や過去記録を移すときは、氏名の表記ゆれ、重複ID、日付形式などを変換します。要介護度や服薬情報も、移す前に変換が必要です。移行後は、件数とサンプルの内容を照合します。

研修・本稼働・効果測定

現場で運用を定着させるには、稼働前の準備から導入後の見直しまでを一続きで進める必要があります。

  1. 本稼働前に、職種別の短い研修と入力ルールを用意します。問い合わせ先、障害時の紙運用、アカウントの発行・停止の手順も決めておきます。
  2. 各拠点に現場の推進担当を置き、運用を管理者と分担します。
  3. 稼働後は1か月、3か月、6か月などの区切りでKPIを測り、使われていない項目を減らして必要な帳票や権限を見直します。

ポイント

導入は契約で終わらず、1拠点のPoCと移行テストを経て本稼働に進みます。判断に迷うときは、現場が実機で使えるかを確かめる段階を省かないことが目安です。

介護記録システムの費用相場とコスト内訳

介護記録システムの見積もりで分けて確認する月額利用料、初期設定、端末・通信、データ移行を4つのパネルに整理した図。
費目を分けると、見積もりに含まれる範囲を照らし合わせやすくなります。

費用は、月額利用料と初期設定、端末・通信、データ移行を分けて見積もります。研修と帳票変更、他システム連携、保守も、別の項目として見積もります。

公開料金、補助事業の支出額、個別開発の推定額は、それぞれ対象範囲が異なります。そのため、数字を並べて価格順に比べることはできません。確認できる公開例と、要件によって増える費用は、分けて考えます。

▶ 詳細はこちら:介護記録システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

公開されているクラウド料金の見方

公開料金の例は、予算と比べる条件をそろえて読みます。

  • 10名までの公開例:月額9,680円(税込、初期費用無料)、年額116,160円
  • 50名の単純計算:月額48,400円、年額580,800円(利用料のみ)
  • 別の公開例:1施設・職員10名で月額5,000円からのサービスもある
  • 料金の確認条件:職員・閲覧用アカウント、拠点、家族機能、帳票、請求連携、サポート

50名の金額は、利用料だけで計算したものです(出典: 公開されたクラウド介護記録サービスの料金ガイド、2026年確認)。ただし、月額が安くても、初期設定や移行が高額になる場合があります。

費用は、5年間の利用料と初期費用に、端末更新や通信費も加えたTCO(総所有コスト)で比べます。

端末・設定・研修を含む導入支出

導入支出の規模と見積もりの対象範囲は、次の観点で確かめます。

  • 補助事業の支出幅:介護ソフト導入で約130万円から約790万円超の例
  • 見積書の費用内訳:初期設定費、アカウント登録、既存データの移行、端末のキッティング、Wi-Fi改善を分けて表示
  • 研修・変更費:操作研修、現地支援、帳票カスタマイズも分けて表示
  • 補助金の条件:対象経費、申請時期、実績報告、対象外費用を自治体の要領で確認

広島県の令和7年度リストでは、1,312,500円、2,200,713円、4,715,500円、7,918,400円という例が並んでいます。

これらには、端末や設定、周辺機器が含まれるほか、複数機能や付帯経費が入る可能性もあります。そのため、ソフト単体の定価とは限りません(出典: 広島県「令和7年度 介護テクノロジー定着支援事業 補助実施事業所リスト」、2026年公表)。

個別開発の費用と期間の目安

個別開発には共通の定価がなく、費用は要件によって変わります。

次に示す金額は、一般的な業務システムの目安と公開導入支出例をもとにした推定です。要件定義の前に出す概算で、見積もりの保証ではありません。

  • 費用を左右する要件:画面数、権限、連携先、オフライン対応、AI・センサー、保守範囲
  • 1拠点・1サービス:MVPは300万〜800万円、要件整理から初回稼働まで3〜6か月程度
  • 複数サービス・拠点:計画・実績・請求・外部連携込みで800万〜2,000万円、6〜12か月程度
  • 2,000万円超の可能性:センサー連携、音声AI、オフライン同期、複雑な既存連携、24時間運用を含む場合

初期費用だけで決めると、後からの負担を見落としかねません。そのため、制度改定や脆弱性対応、クラウド費用を含む5年間の総額を示してもらいます。問い合わせや端末更新、データ移行も、同じ総額に含めてもらいます。

ポイント

費用は初期費用だけで比べず、利用料や導入支出、個別開発の見積もりを5年間のTCOでそろえて見るのが目安です。対象範囲の違う数字は、そのまま並べないようにします。

介護記録システムの開発会社・ベンダーの選び方

会社やベンダーは、知名度や機能数よりも、自社の業務を理解し、導入後まで支援できるかで選びます。製品提供会社、導入・設定パートナー、個別連携を担うSI会社では、役割が異なります。

要件の取りまとめ、データ移行、運用設計の3つは、誰が担当するかを明確にしておきます。

介護業務への理解と対応範囲

まず、訪問、通所、入所のどのサービスに対応しているかを確かめます。次に、記録や計画、実績、請求のうち、標準機能で扱える範囲を見ます。LIFEやケアプランデータ連携、家族との共有についても、標準機能で扱えるかを確かめます。

デモでは、利用者登録から一日の記録、申し送りまでを実演してもらいます。管理者の確認や請求担当への引き渡しまで通して見て、入力回数と画面遷移も数えます。

連携・セキュリティ・データ移行

連携、移行、安全管理については、契約前に確認事項をそろえておきます。

  • 連携仕様:請求、会計、給与、電子カルテ、見守りセンサーのAPI・CSV、エラー通知、再処理
  • 利用者データ:正となるID、退所・変更・削除の同期方法
  • 移行と返却:対象期間、検証方法、失敗時の切り戻し、契約終了時の返却形式
  • アクセス保護:役割別の閲覧・編集・出力権限、二要素認証、通信・保存時の暗号化
  • 運用管理:操作・閲覧・変更履歴、バックアップ、脆弱性対応、委託先の管理体制

比較表にセキュリティの項目がない場合は、提案依頼書で同じ質問を出し、回答をそろえます。

導入支援・保守・契約条件

導入時の支援、複数拠点での運用、契約条件の3点を、次のように確かめます。

  • 支援・保守:現地支援、職種別研修、問い合わせ窓口と対応時間、障害時の連絡、制度改定時の更新、端末交換、定期的な運用レビュー
  • 複数拠点の管理:本部の設定管理、拠点ごとの権限、退職者アカウントの即時停止
  • 契約条件:月額改定、最低利用期間、解約予告、データ返却、再委託、障害時の責任分界

▶ 詳細はこちら:介護記録システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:介護記録システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

▶ 詳細はこちら:介護記録システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

開発会社は、知名度より、自社の業務を理解し導入後まで支援できるかで選びます。役割分担、データ移行、セキュリティの回答は、提案書や契約書に残してもらいます。

中央の介護記録を、システムの安全管理、委託先の確認、契約とログ、現場の運用の4方向から守る構成を示した図。
確認先をシステムの外側まで広げて、保護の抜けを防ぎます。

介護記録には、健康状態や服薬、家族情報、事故や生活上の配慮など、要配慮個人情報が含まれることがあります。そのため、閲覧権限や操作記録、事故時の報告を、業務とシステムの両面で決めておく必要があります。

個人情報を守るための基本確認

個人情報の保護では、システム、委託先、現場の運用を合わせて確かめます。

  • システムの安全管理:職種・拠点・役割別権限、遠隔ロック、多要素認証、暗号化、操作ログ、復元テスト
  • 委託先の確認:クラウド・保守会社の再委託先、データ保存地域、障害や漏えい時の通知
  • 契約とログ:ログの保管期間、契約終了後のデータ消去方法
  • 現場の運用:共有アカウントを避け、離席時にロックし、私物端末への保存や印刷物放置を防ぐ

個人情報保護委員会と厚生労働省のガイダンスは、介護関係事業者に対し、安全管理、従業者の監督、委託先の監督を求めています。対象には、介護保険施設や居宅サービスなどが含まれます(出典: 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、2026年確認)。

介護情報基盤と標準化への備え

厚生労働省は、2026年4月1日以降、標準化が完了した市町村から、介護情報基盤へのデータ移行と情報共有を順次始めると案内しています。

さらに、2028年4月1日までに全市町村で活用を始めることを目指しています(出典: 厚生労働省「介護情報基盤について」、2026年確認)。ただし、今すぐ全機能を作り替える必要はありません。

利用者・サービス情報の標準化や外部連携の更新方針、データ出力の可否を、選定条件に加えておきます。

音声AI・センサーを使うときの原則

音声入力やAI、センサーは、記録の負担を減らし、職員の気づきを支える目的で使えます。

  • 活用例:音声入力・AI要約で記録負担を軽減し、申し送りの下書きを作る
  • センサーの役割:離床、睡眠、室温、バイタルの変化を記録し、職員の気づきを支援
  • 確定の手順:誰が事実を確かめ、どの時点で正式記録にするかを決めておく
  • 事前に決めること:誤認識・誤検知の扱い、学習データへの利用有無、音声・画像の保存期間、アラート優先度、通知を見落とした場合の責任分界

ただし、AIの誤りやセンサーの誤検知は起こりうるため、そのまま正式記録にはしません。AIが作った文章やセンサーの検知結果も、担当職員が事実を確認してから確定します。

技術そのものを目的にせず、「記録時間を短くする」「夜勤の見落としを減らす」などのKPIに結び付けて評価します。

失敗例と導入前チェックリスト

失敗の多くは、導入前の業務整理や運用設計が足りないことから起きます。

現場が使わない入力項目を増やすと、紙との二重運用が残ります。既存システムとの連携責任を決めないまま契約した場合も、似た失敗が起きます。

研修や移行検証を費用の削減のために省くと、本稼働後の問い合わせや修正の費用が増えます。

よくある失敗と対策

導入時に起きやすい失敗は、現場の参加不足、機能の選びすぎ、請求連携の確認不足の3つです。

  • 現場の入力が続かない:職種別の代表者を要件定義とPoCに参加させる
  • 使わない機能が多い:必須業務と将来拡張を分け、初期リリースの範囲を限定する
  • 請求連携に手作業が残る:データ項目と連携方式を契約前に試す

導入効果を測るKPI

KPIには、記録1件あたりの入力時間や1日あたりの転記時間、未入力率を使えます。申し送り時間や請求前の修正件数も候補になります。事故報告の確認遅れや職員のログイン率も、測れる指標です。

導入前後は同じ条件で比べます。職員数や利用者数が変わった場合は、1人あたり、1利用者あたりの数字に直して見ます。

入力時間だけを追うと、記録が短くなりすぎることがあります。そのため、記録の確認率やケアの質に関する指標も合わせて見ます。

契約前に確認する項目

契約前の確認表には、まず対応サービス、標準機能、追加費用を書きます。拠点数ごとの料金と、端末・通信の条件も記載します。オフライン動作とデータ移行も、確認表に含めます。

請求やLIFE、外部機器との連携は、契約前に試せる範囲を確かめます。権限と監査ログ、バックアップ、障害対応は、運用の条件として見ておきます。研修や制度改定、解約時のデータ返却も、あわせて確かめます。

現場の代表者が実機で入力し、夜勤や訪問先、通信障害時の業務を試します。口頭での回答は、提案書や契約書に記載してもらいます。

よくある質問

導入前には、費用や既存業務との相性、補助金、セキュリティについて疑問が出やすいものです。確認されやすい質問を、判断の目安とあわせて見ていきます。

介護記録システムの導入費用はいくらですか?

小規模なクラウド型は、公開価格で月額数千円から1万円前後の例があります。ただし、端末や初期設定、移行まで含めると、総額は変わります。研修や請求連携、複数拠点対応も、総額に影響します。

個別開発は、要件によって300万〜2,000万円以上の推定の幅があります。比べる際は、初期費用ではなく5年間のTCOで見ます。

紙の記録をすべて一度に電子化すべきですか?

全業務を一度に切り替えなくても、導入は進められます。まずは、記録量が多く、転記や申し送りの負担が大きい1サービス・1拠点からPoCを始めます。

入力時間と未入力率を測ってから、対象を広げます。過去記録は、保存義務や参照頻度を確かめたうえで、全件を移すか、必要な期間だけ移して原本を保管するかを決めます。

音声入力やAIを介護記録に使っても問題ありませんか?

音声入力やAIは、記録の下書きや要約を支援する用途で使えます。ただし、聞き間違いや要約漏れ、誤検知があり得るため、担当職員が正式記録を確認して確定します。

音声データの保存期間や第三者提供、学習利用を、導入前に決めておきます。アクセス権限と、誤りが起きた場合の修正履歴も、事前に決めます。

まとめ

介護記録システムは、記録を申し送りや計画、実績、請求へつなぐ業務の土台です。家族との情報共有にもつながります。サービス種別や事業所の規模、必要な連携範囲を明確にします。そのうえで、クラウド、パッケージ、個別開発を使い分けます。

選定で外せない判断軸

サービス種別と入力場所、連携範囲を整理すると、必要な機能と費用を比べやすくなります。職員数や拠点数も加えると、見積もりの前提がそろいます。

標準機能で始める範囲と、将来の個別連携に残す範囲を分け、現場が無理なく使えるかを実機で確かめます。

導入を成功させる次の一歩

導入計画、費用、安全面を一緒に確かめることが、次の一歩になります。

  • 導入計画:現場観察で課題を数値化し、1拠点のPoC、移行テスト、職種別研修、KPI測定を計画
  • 費用比較:端末、設定、移行、研修、保守、制度改定、セキュリティ対応を含む5年間のTCOで比較
  • 安全と将来対応:個人情報保護、監査ログ、権限、介護情報基盤への対応を価格と同じ重要度で確認

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。