Drupalのシステム開発の完全ガイド

Drupalのシステム開発は、複雑なコンテンツ構造、多言語・多拠点の運用、細かな権限管理の3点で押さえると、複雑なWeb運用の基盤選びに役立ちます。

全体像、向き不向き、開発の進め方、構成、費用、開発会社の選び方、保守の順に、発注側が知っておきたい点をまとめます。

▼関連記事一覧
・Drupalのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・Drupalのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・Drupalのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・Drupalのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

Drupalのシステムの全体像

DrupalはPHPを中心に動くオープンソースのCMSです。コンテンツを構造化して再利用でき、部署・地域・言語ごとに権限や表示を管理できます。

企業サイト、大学・公共団体の情報サイト、会員向けポータル、ナレッジシステムなど、運用ルールが複雑なWebシステムで使われます。

CMSでありながら業務システムのように使える理由

Drupalが業務システムのように使えるのは、情報を種類ごとに定義し、項目を決めて扱えるからです。一般的なCMSとの違いは、情報の定義と再利用の範囲に表れます。

  • 一般的なCMS:固定ページやブログ記事の管理が中心です。
  • コンテンツタイプ:製品、拠点、イベント、求人、マニュアル、ニュースを別々に定義できます。
  • フィールド:各タイプにタイトル、本文、画像、PDF、日付、分類、関連コンテンツなどを設定できます。
  • データの再利用:住所・営業時間・対応地域を持つ拠点情報を、一覧、検索、地図、関連ページに利用できます。

構造化によって、編集者は自由にHTMLを貼り付ける方式から、決められた項目を入力する運用へ移れます。

入力ルールをそろえやすいため、ページが増えても表記ゆれや掲載漏れを抑えられます。この点が、DrupalをWebシステムの基盤に採用する理由です。

Drupal CoreとDrupal CMSの役割の違い

2026年時点では、Drupal CoreとDrupal CMSは、細部の設計を自由に決めるか、標準的なサイトを手早く始めるかで役割が分かれます。

  • Drupal Core:データモデル、権限、テーマ、モジュール、APIを細かく設計できます。
  • Drupal CMS:標準的なマーケティングサイトを始めやすい製品版です。

Drupal CMSには、検索やメディア、SEOの初期設定があります。同意管理や分析、AI支援、自動更新なども、初期設定に含まれます。Drupal CMS 1.0は2025年1月15日に公開され、マーケターやコンテンツ担当者向けの初期設定やレシピを提供しました(出典: Drupal.org公式発表、2025年)。

細部まで独自に設計したい場合はCoreが候補です。一方、標準的なサイトを短期間で立ち上げたい場合は、Drupal CMSが候補になります。

Drupalのシステムでできることと主な機能

Drupalの一つのモデルから、コンテンツ、権限、検索、外部データへつながる図です。
情報と運用を同じ基盤で結び付けます。

Drupalでは、コンテンツ、ユーザー、権限、検索、外部データを一つのモデルで扱えます。機能は、標準機能、コミュニティ製モジュール、設定、独自モジュールを組み合わせて作ります。

コンテンツタイプとタクソノミーによる情報整理

検索や再利用の土台となる情報構造は、種類・項目・分類の3つを組み合わせて設計します。

  • コンテンツタイプ:記事、製品、イベントなど、情報の種類を定義します。
  • フィールド:各タイプにタイトル、本文、画像、PDF、日付、分類、関連コンテンツを設定できます。
  • タクソノミー:カテゴリ、地域、製品分野などの分類を階層的に管理します。

先に構造を設計しておくと、検索条件や一覧、関連情報の自動表示を作りやすくなります。逆に後から決めると、情報の重複入力が生じ、移行や更新のコストが増えます。

部署ごとの権限とワークフロー

部署をまたいで安全に更新を回すには、役割と公開手順、権限の管理方法を先に定めておきます。

  • ロール:閲覧者、編集者、承認者、翻訳担当者、管理者ごとに操作範囲を制御します。
  • ワークフロー:下書き、レビュー、承認、公開、公開予約、リビジョン管理を組み合わせます。
  • 承認履歴:法務確認やブランド審査の際、誰がいつ何を承認したかを追跡できます。
  • 権限表:複数部署で運用する場合は、全員に管理者権限を与えず、要件定義の段階で権限表を作ります。
  • 権限の更新:異動や委託先変更を想定し、権限の追加・削除を運用手順に組み込みます。

多言語・多サイト・API連携への対応

国や地域ごとの言語、ブランド別サイト、事業部別サイトを一つの基盤で管理できます。共通コンテンツを再利用しながら、地域ごとの表現や公開権限を分けられます。

翻訳の承認者、原文と翻訳の関係、公開日時、URL、SEO情報は、最初に決めておきます。また、JSON:APIなどを使えば、別のフロントエンドやアプリへデータを提供できます。

外部の基幹システムや会員、在庫などと連携する場合は、同期方式とエラー時の再送を設計します。あわせて、個人情報の扱いと認証方式も決めておきます。

Drupalのシステムが向いている企業と向かない企業

Drupalは、機能が高度になるほど価値が出る基盤です。一方、数ページの会社案内を少人数で更新するだけなら、簡単なCMSやSaaSの方が負担を抑えやすい場合があります。選ぶ際は、機能の多さよりも、コンテンツと運用の複雑さを基準にしてください。

多言語・多拠点・複数部署で運用する企業

複数拠点で次のような情報や運用を扱う場合は、Drupalの機能を活かしやすくなります。

  • 多拠点・多様な製品:複数の国や拠点で情報を公開し、製品・サービスの種類が多い組織に向いています。
  • 分担運用:編集と承認を分けられます。
  • 共通要素の活用:モデル、権限、デザインを再利用し、追加サイトごとのCMS導入を減らせます。
  • 社内情報基盤:ユーザーごとに閲覧情報が異なる社内ポータルやナレッジサイトにも適しています。
  • 情報の組み合わせ:検索条件や関連情報を、会員属性や公開期限と組み合わせ、ページ一覧を超えた情報基盤を構築できます。

小規模で単純な更新だけの場合の比較

Drupalの柔軟性が運用規模に見合うかどうかは、現状と将来像を照らして判断します。

  • 小規模な運用:ページが少なく、更新者が一人か二人で、承認や多言語も不要なら、柔軟性を使い切れない可能性があります。
  • 運用負担:開発者の確保やアップデート手順により、運用負担が相対的に大きくなる場合があります。
  • 比較基準:必要な機能や将来の拡張性を、初期費用や総保有コストと並べて比べます。
  • 将来の計画:多言語化や会員化、外部連携、複数ブランド化を予定する場合は、判断が変わります。
  • 中期の運用像:三年後のコンテンツ量や編集者数、連携、保守体制を見通します。

ポイント

多拠点・多言語・複数部署での運用があるかで、Drupalの向き不向きを判断します。運用が小規模で単純なら、簡単なCMSやSaaSと比べてから決めてください。

Drupalのシステム開発の5段階の進め方

Drupal開発を、事業と利用条件の整理からリリース後の運用まで5つの工程で示した流れ図です。
前工程で決めた条件が、後工程の手戻りを抑えます。

画面を先に作ると、コンテンツ構造や権限で手戻りが起きやすくなります。そのため、要件、情報モデル、方式、移行、テスト、運用の順に確認し、段階ごとに決めた内容を固めます。

▶ 詳細はこちら:Drupalのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

1. 要件定義と現状診断

要件を整理し、既存環境の状態を把握しておくと、見積もりと開発範囲を定めやすくなります。

  • 事業と利用条件:目的、利用者、KPI、公開範囲、担当者、更新頻度、月間アクセス、言語数、サイト数、外部連携を整理します。
  • 既存サイトの洗い出し:ページ、コンテンツタイプ、フィールド、分類、画像、URL、リダイレクト、権限、独自モジュールを一覧にします。
  • 要件定義でそろえる資料:モデル図、権限表、移行対象、非機能要件、運用分担、障害連絡先、公開後の更新方針をまとめます。

画面一覧だけでは、要件定義として不十分です。必要な資料をそろえておくことが、見積もりと開発範囲の安定につながります。

2. 方式選択と設計

Drupal Coreを中心にするかDrupal CMSのレシピを活用するか、マネージド環境と自社クラウドのどちらにするかを決めます。そのうえで、標準機能、既存モジュール、独自開発の範囲を分けます。

この切り分けが、予算と保守性を左右します。設計では、コンテンツタイプやフィールド、表示、検索の仕組みを決めます。また、URL、権限、ワークフローも設計します。

キャッシュ、ログ、バックアップも設計の対象です。フロントエンドを分ける場合は、APIのデータ形式に加えて、プレビューや認証、キャッシュ更新、編集画面との整合性も決めます。

3. 環境構築と実装

実装では、環境管理と独自開発の範囲をはっきりさせておき、更新や引き継ぎに備えます。

  • 環境と依存関係:開発・検証・本番を分け、ComposerやDrushで依存関係と更新手順を管理します。
  • 実装と管理:テーマやモデル、権限、ワークフローに加え、検索、フォーム、連携を実装します。設定とソースコードの管理方法も決めます。
  • 本番変更:本番環境だけの手作業変更は、復旧や再現を難しくするため避けます。
  • 独自開発:差別化に必要な機能に絞ります。標準機能まで独自実装すると、更新の確認や引き継ぎが難しくなります。

4. データ移行と品質確認

移行と品質確認は、公開直前にまとめて行わず、試行と検証を経て本移行へ進めます。

  • データの整理:旧項目を新フィールドへ対応付け、重複や古い画像を整理します。
  • URLと試行移行:URLを維持・統合するページを決めます。試行移行では、件数や文字化け、画像、リンク、公開状態、権限、検索結果を確認します。
  • 機能テスト:表示、編集、承認、翻訳、予約公開に加え、権限エラー、検索、フォーム、API停止、負荷を確かめます。
  • 復旧と受け入れ:バックアップ復元とロールバックを試し、受け入れ基準と合否の判断者を事前に決めます。

5. リリース後の運用設計

公開後の運用では、更新の管理と担当者教育、引き継ぎに使える納品物の準備が欠かせません。

  • 更新対象:Core、モジュール、PHP、DB、OS、ミドルウェアを継続管理します。
  • 更新と復旧:検証環境で更新を試します。バックアップを取り、問題時に戻せる手順を用意します。
  • 保守契約:通常更新、緊急パッチ、監視、障害対応、脆弱性診断、定例報告の範囲を記載します。
  • 担当者教育:公開予約や差し戻し、権限申請、画像最適化、リンク確認の手順を、担当者に身につけてもらいます。
  • 納品物:設計書、ソース、Composer定義、インフラ設定、バックアップ復元手順を受け取ります。

ポイント

要件定義から運用まで5段階で進め、前の段階で決めた条件を後の段階で変えないようにすると、手戻りを抑えやすくなります。

Drupalの構成と開発方式の選び方

構成は、運用を担う側、必要な可用性、外部データとの連携方法で決まります。初期費用に加えて、更新責任や障害対応、データの持ち出しやすさ、拡張性も比べます。

パッケージやマネージド環境による運用の標準化

導入パッケージやマネージド環境は、インフラや監視、デプロイに加え、バックアップやセキュリティ設定も標準化しやすい方式です。Drupal CMSの初期設定やテンプレートで、構築時間を短縮できる場合があります。

月額利用料や拡張機能、データベースへのアクセスに加え、障害時の責任分界と契約終了時の移行方法も確認します。契約書と技術仕様の両方が判断材料になります。

自社クラウドやオンプレミスによる統制

自社クラウドやデータセンターなら、ネットワークや認証、WAF、データ配置を社内基準に合わせやすくなります。監査ログや災害対策も、自社の方針で組み立てられます。

個人情報や社内情報を扱う場合は、既存の監視やアカウント管理と統合できます。一方で、Drupal、PHP、データベースの管理に加え、OS、証明書、バックアップの管理責任も自社に残ります。

自社で運用する場合は、担当者のスキルや夜間対応、交代要員、復旧時間の目標を先に決めておきます。

配信先が多い場合のヘッドレス構成

Webサイトやアプリ、デジタルサイネージ、会員画面など、複数の配信先へ届ける場合は、DrupalをAPI専用の管理基盤にする構成が候補になります。表示側は、独立して開発できます。

編集画面のプレビューや認証、キャッシュの扱いは、別途設計します。公開反映、エラー表示、アクセシビリティも、設計の対象に入ります。

単一サイトでヘッドレスを採用すると、複雑さが増えます。そのため、配信先と運用効果がはっきりしている場合に絞って検討します。

Drupalのシステム開発費用の相場とコストの内訳

Drupalはオープンソースのため、ライセンス費用は基本的に無料です。ただし、開発費用はコンテンツ量や言語数、サイト数で変わります。権限や移行、連携、可用性、保守体制も費用を左右します。

次に示す金額は、Drupal専用の全案件統計ではありません。公開価格と類似CMS・業務システムの相場を組み合わせた、2026年時点の目安です。

▶ 詳細はこちら:Drupalのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

初期費用の目安(100万円台から5,000万円超まで)

初期費用は、ページ数や必要機能によって幅があります。そのため、案件規模ごとの条件と目安を並べて確認します。

  • 小規模:10〜20ページ程度で基本設定、テーマ調整、フォーム、少数の権限なら100万〜200万円程度です。
  • 中規模:設計、30〜100ページの移行、検索、複数権限、数個の連携を含み、200万〜500万円程度です。
  • 大規模:多言語・多サイト、承認、API、性能試験、CDN、厳格なセキュリティ要件を含み、500万〜1,500万円以上になりやすいです。
  • 複雑な案件:会員・商品・基幹連携、24時間運用、複数環境、複雑な移行を含むと、1,000万〜5,000万円以上になることもあります。

公開価格の一例では、初期導入費用500万円から、監視や保守を含む月額30万円という参考値が示されています(出典: Drupal導入サービスの公開価格表、2025〜2026年)。

見積もりの工程別内訳と追加費用

見積もりでは、費用の内訳と前提条件を分けて確認します。

  • 工程別の内訳:要件定義、情報設計、デザイン、環境、Drupal設定、テーマ、独自機能、連携、移行、テスト、教育、リリースに分けて示します。
  • 見積もりの前提:ページ数に加え、コンテンツタイプ、フィールド、言語、ユーザー、権限、連携の数を示します。

作業配分の一般目安は、要件定義10〜12%、設計・環境構築22〜24%、実装48〜50%、テスト15〜17%程度です。ただし、既存サイトの移行や基幹連携がある場合は、この配分も変わります。要件定義やテストが極端に少ない見積もりは、公開後の不具合や追加請求につながるおそれがあるため、理由を確認してください。

保守・インフラ・アップデートの費用

運用費は、月額に含まれる保守作業とインフラ費を分けて確認します。

  • 保守・更新:保守、監視、セキュリティ更新は月10万〜50万円程度です。
  • インフラ:クラウド、CDN、バックアップ、検索基盤は月数万円から数十万円程度です。
  • 別料金の作業:夜間対応、脆弱性診断、性能改善、更新代行、メジャー更新は別料金の場合があります。

月額に含まれる作業時間と対象範囲は、契約前に確かめてください。

初期費用の15〜25%を年間の保守費用とする一般的な考え方もあります。ただし、これはDrupal固有の統計ではありません(出典: 業務システムの保守費用に関する一般的な見積もり目安、2025〜2026年)。

三年または五年で、初期開発、クラウド、保守、追加開発、移行、教育を合算します。こうすると、初期見積もりでは見落としやすい費用が見えてきます。

ポイント

費用は、案件規模や連携・移行の範囲、保守体制で変わります。初期費用だけでなく、三年または五年の総保有コストで比べてください。

Drupalのシステム開発会社/ベンダーの選び方

開発会社は、価格や知名度だけでなく、同規模・同条件の経験と公開後の責任を見て選びます。Drupalの担当者がいても、移行やインフラ、セキュリティ、編集者教育まで担うとは限りません。そのため、領域ごとの担当と範囲も確かめます。

Drupalの認定・バージョン・移行実績

候補会社の技術対応と実績は、認定だけでなく具体的な案件内容まで確認します。

  • 技術対応:Drupal 11・Drupal CMS、Drupal 7移行、独自モジュール保守、Composer、API連携の実績を確認します。
  • 案件との適合:多言語、多サイト、検索、会員機能を確認します。適合性は、認定やコミュニティ貢献とは別に確かめます。
  • 事例の確認:課題、対象ユーザー、コンテンツ量、言語数、連携方式、開発期間、保守範囲を聞きます。
  • 担当者の説明:要件の近い事例の画面や運用フローを見せてもらい、担当予定者に説明を求めます。

見積もりの前提と追加請求の条件

見積もりの条件をそろえてから、作業範囲と追加費用を比べます。

  • RFPの前提:ページ数に加えて、コンテンツタイプや言語数、サイト数、ユーザー数、月間PV、連携数、検索要件、移行対象、保守時間帯を記載します。
  • 工程別見積もり:候補会社へ同じ資料を渡し、要件定義、設計、開発、移行、テスト、教育、リリース、保守を分けて依頼します。
  • 追加費用:追加・仕様変更、移行データ不備、連携先変更、緊急対応、PV超過、翻訳作業の条件を確認します。

単価と承認手順まで契約に記載すると、公開直前の予算超過を抑えられます。

保守体制と契約上の責任分界

保守契約では対応範囲と責任の所在を定め、引き継ぎに必要な条件も明記します。

  • 日常・緊急対応:セキュリティ情報の確認頻度、通常更新、緊急パッチの時間、監視、障害一次対応を確認します。
  • 保守の追加範囲:バックアップ復元、脆弱性診断、月次報告をどう扱うかを確かめます。
  • 24時間対応:受付時間、復旧目標、代替要員、エスカレーション経路を取り決めます。
  • 権利と引き渡し:ソースコード、設定ファイル、データ、デザイン、ドキュメントの権利と引き渡し範囲を定めます。
  • 契約と引き継ぎ:再委託、終了時のデータ返却、著作権の扱いを明記します。

納品物とアクセス権を自社で管理しておけば、開発会社が変わっても運用を続けやすくなります。長期的なベンダーロックインの防止にもつながります。

▶ 詳細はこちら:Drupalのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:Drupalのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

会社は、同規模・同条件の経験と公開後の責任を見て比べます。担当範囲は領域ごとに確かめ、見積もりの前提もそろえてください。

Drupalのセキュリティ・保守・移行で注意する点

Drupalのセキュリティを、多要素認証、最小権限、アクセスログ、バックアップの世代管理で守る図です。
予防・記録・復元の備えを組み合わせます。

Drupalはセキュリティ更新を継続して受ける前提のソフトウェアです。セキュリティリリースは通常毎月第3水曜日、バグ修正は毎月第1水曜日が予定日です(出典: Drupal.org公式リリーススケジュール、2026年)。そのため、日程の把握に加えて、検証、承認、本番反映を行える体制が必要です。

Core・モジュール・PHPの継続的な更新

更新計画では、対象範囲と検証手順を定めます。次期バージョンの時期も、保守計画に反映します。

  • 更新対象:Core、寄与・独自モジュール、PHP、DB、OS、Webサーバー、JavaScriptライブラリを管理します。
  • 更新手順:Composerで依存関係を管理し、自動テストと主要画面を検証します。復元可能なバックアップ後に本番更新します。

12.0.0は2026年12月の週に公開される予定で、10は同月9日にサポート終了の予定です(出典: Drupal.org公式リリーススケジュール、2026年)。そのため、開発時点のバージョンだけでなく、次のメジャーアップデートの時期と対応方針も、見積もりや保守計画に含めてください。

Drupal 7からの移行と診断・データ設計

移行の前に、Drupal 7のサポート終了と、移行範囲を決める診断項目を確認しておきます。

  • 移行の判断:現在も利用中なら放置せず、新しいDrupalか別基盤への移行を検討します。
  • 費用を左右する要素:独自モジュール、テーマ、古いPHP、URL、画像、権限、多言語、外部連携、重複コンテンツを診断します。

Drupal 7の公式サポートは2025年1月5日に終了しています。終了後は新機能やバグ修正、セキュリティ更新がなく、脆弱性が直らない可能性があります(出典: Drupal.org公式D7 EOL案内、2025年)。

そのため、診断で標準機能と独自改修を分け、データを残す・統合する・廃棄するかを決めます。その結果、予算の精度を上げられます。

バックアップ・監視・権限・契約の一体管理

セキュリティには、脆弱性対策以外の管理も必要です。多要素認証や最小権限、アクセスログを整えるほか、秘密情報管理、WAF、通信暗号化も備えます。

バックアップについては、世代管理や復元テスト、障害時の連絡網を用意します。取得できるかだけでなく、定期的に復元できるかを確かめます。

委託するときは、更新の判断者と適用者、結果の承認者を決めておきます。個人情報を扱う場合は、委託先管理や再委託、ログ保管期間を契約に含めます。事故報告や終了時のデータ返却も、あわせて定めます。

ポイント

更新を継続して受ける前提で、検証や承認、本番反映の体制を用意します。Drupal 7からの移行は診断から始め、バックアップや委託の条件も保守計画に組み込んでください。

よくある質問

導入を検討する際によく出る疑問に、費用、開発期間、CMSの選び方、保守の観点から答えます。

Drupalは無料で導入できますか?

ソフトウェアはオープンソースのため、ライセンス費用を抑えられます。一方で、要件定義や設定、開発、移行、サーバー、保守には費用がかかります。

小規模でも100万〜200万円程度、中規模以上では500万円を超えることがあります。そのため、「無料」はライセンス部分に限って考えてください。

Drupalのシステム開発にはどのくらいの期間がかかりますか?

小規模の基本構築は1〜3か月、中規模で設計や移行を含む場合は3〜6か月が目安です。多言語・多サイト・基幹連携を含む場合は、6〜12か月以上が目安です。要件定義やデータ整理、社内承認、翻訳、受け入れテストの期間が長いほど、全体も延びます。

Drupal CoreとDrupal CMSはどちらを選べばよいですか?

独自のモデルや複雑な権限、細かな連携、独自の業務ロジックを設計する場合は、Drupal Coreが向いています。

検索やメディア、SEO、同意管理などを初期設定のまま使い、標準的なマーケティングサイトを早く立ち上げる場合は、Drupal CMSが候補です。選ぶ際は、将来の拡張性と担当者の使いやすさも合わせて見ます。

Drupal 7をそのまま使い続けても問題ありませんか?

公式サポートは2025年1月5日に終了しているため、長期的に使い続けることは推奨できません。まず、現行環境のデータや独自改修、URL、権限、連携を洗い出し、新しいDrupalか別基盤への移行計画を作成してください。

開発会社には何を伝えて見積もりを依頼すればよいですか?

目的や対象ユーザー、コンテンツタイプ、ページ数を伝えます。また、言語数、サイト数、編集者数、権限を共有します。月間PV、外部連携、既存データも伝えます。

公開希望時期や保守時間帯も共有します。移行対象や非機能要件が曖昧だと見積もりの差が大きくなるため、診断と要件定義を先に依頼する方法も有効です。

まとめ

Drupalは、コンテンツ構造、権限、多言語、多サイト、検索、外部連携を一つの基盤で扱いたい企業に適しています。

ライセンスは無料でも、開発や移行、インフラ、保守には費用がかかります。そのため、初期費用だけでなく、三年または五年の総保有コストで判断します。

導入前に確認したい5つの条件

導入前には、運用とシステムの条件を次の5点で確かめます。

  • 多言語が必要か
  • 多サイトを一元管理するか
  • 権限と承認が複雑か
  • APIや基幹連携があるか
  • 既存データの移行有無と、更新・保守を担う担当者

当てはまる条件が多いほど、Drupalの価値が出やすくなります。逆に、どれも当てはまらない場合は、より単純なCMSやSaaSも比較対象に含めます。

最初の一歩となる現状診断とRFP作成

相談の前に、新規開発か既存サイトの刷新かに応じて、目的と現状を整理します。

  1. 新規開発では事業目的とコンテンツモデルを整理し、既存サイトがあればデータと独自改修を診断します。
  2. 要件定義や移行、セキュリティ、保守、契約上の納品物を含むRFPを作り、同じ条件で複数社に相談します。

条件をそろえた相談が、Drupalの強みを活かしながら予算とリスクを管理する近道です。

▼関連記事一覧
・Drupalのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・Drupalのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・Drupalのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・Drupalのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。