Unreal Engineのシステム開発の完全ガイド

Unreal Engineの業務システムは、リアルタイム3D、業務データの連携、継続運用を組み合わせ、現場の判断や作業を改善する仕組みです。

用途と構成、進め方、費用、運用、発注先の選び方を順に見ていきます。各テーマの詳細は関連記事もご覧ください。

▼関連記事一覧
・Unreal Engineのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・Unreal Engineのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・Unreal Engineのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・Unreal Engineのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

Unreal Engineのシステムの概要

Unreal Engineのシステムは、業務情報を3D空間に表示し、実際には試しにくい状況を仮想環境で再現する仕組みです。

Unreal Engine自体は、画面表示や空間操作、物理挙動、シミュレーション、デバイス連携を担う部分です。一方で、ERPやCRM、会計、在庫管理などの業務パッケージそのものではありません。

認証や権限、データベースは、Unreal Engineとは別の業務基盤として設計します。また、承認の流れや監査ログ、帳票、運用監視も、その基盤で受け持ちます。

リアルタイム3Dが業務に与える価値

リアルタイム3Dを使うと、情報を空間に表示して操作でき、仮想環境での検証も業務に生かせます。

  • 空間の把握:設備の配置、製品の構造、車両の挙動、建物内の動線を関係者で共有
  • 操作の反映:設計レビューや作業教育、故障対応、顧客提案で認識をそろえる
  • 仮想再現:物理挙動やシナリオを使い、実機では危険な故障や災害、渋滞、設備停止を何度でも検証
  • 公式用途:訓練、安全性の確認、自動運転や航空などの検証

成果は映像の見栄えだけで測らず、レビュー時間や教育時間、試作回数、事故や停止のリスクといった業務指標に結び付けます。

業務システムとゲームの違い

ゲームと業務システムでは、重視する要件と、データ管理の責任範囲が異なります。

  • ゲーム:プレイヤーの体験や演出、リアルタイムの入力を重視
  • 業務システム:正確なマスタ、複数の権限、承認、操作履歴、バックアップ、復旧目標の定義、既存システムとの整合性が求められる
  • デジタルツイン:設備を3D空間に置くだけでは足りず、ID、稼働状態、点検履歴、アラート、担当者、更新時刻を結び付けて、閲覧者も決める

そのため、業務要件を定義したうえで、安全なデータ管理と納品後の更新を設計します。Unreal Engineは見せ方と操作を担い、正しいデータはAPIやデータベース側で管理します。

Unreal Engineのシステムの種類と向き・不向き

用途を先に分類すると、必要なデータや端末、シミュレーション精度を定めやすくなります。そのため、過剰な高精細モデルや不要な機能への投資も避けられます。

デジタルツイン・設備可視化

工場や倉庫、店舗、建物、都市を3D空間で再現し、センサーや業務データを重ねて表示します。現場と管理部門は、設備の位置や稼働状態、温度、在庫、作業動線を画面で確認できます。

CADやBIM、GIS、LiDAR、写真測量のデータは利用できます。ただし、座標系や単位を合わせ、ポリゴン数やテクスチャ、LOD、コリジョンを調整する必要があります。

デジタルツインは、一度作れば完成というものではありません。設備の追加や配置変更を3Dに反映し、更新頻度と責任者を決めておく必要があります。未更新の空間は判断を誤らせるため、アセット管理を初期要件に含めます。

シミュレーター・VR教育・防災訓練

車両や機械、ロボット、航空機、設備の挙動を再現し、操作訓練や安全教育に使います。実機や災害現場を用意しなくても、異常停止や衝突、火災、浸水、部品故障を繰り返し体験できます。

VRでは映像品質に加え、視点移動や入力方法、フレームレート、VR酔い、衛生管理、利用者ごとの記録まで評価します。

訓練結果では、迷った操作や判断にかかった秒数、危険行動を記録すると改善に役立ちます。加えて、管理画面や受講履歴、評価者の権限も設計します。

ビューア・コンフィギュレーター・HMI

製品ビューアや、色や部品を切り替えるコンフィギュレーター、車載や設備の操作画面であるHMIも用途に含まれます。

製品の3Dデータを部品マスタ、価格、在庫、仕様、選択可能な組み合わせと連携し、営業提案や設計確認に活用します。

価格計算や受注処理は3D画面に埋め込まず、業務ルールはバックエンド側でまとめて管理します。

通常のWebシステムを優先すべき業務

文字情報と業務フローが中心なら、通常のWebシステムや既存パッケージが適しています。たとえば、次のような業務です。

  • 申請や一覧検索、帳票
  • 単純なマスタ登録と会計処理
  • 勤怠の集計

3Dが不要でもUnreal Engineを採用すると、端末性能やアセット制作、バージョン管理、専門人材の負担が増えます。その結果、投資対効果が合わない場合があります。

導入前には、空間操作で意思決定が速くなるか、現実では試しにくい条件を再現できるか、3Dデータを継続して更新できるかを確かめます。

どれも明確でなければ、まずは2D画面や軽量ビューアで検証し、必要な部分からUnreal Engineへ広げます。

ポイント

3Dの表示や操作が業務成果に直結するかを判断の軸にし、直結しない業務は通常のWebシステムや既存パッケージを候補にします。

Unreal Engineのシステムの基本構成

業務向けの構成を、3D操作、APIと既存システム、アセットと運用基盤の3層で示した図。
画面機能とデータ管理の役割を分けて整理できます。

業務向けの構成は、画面側の層と業務ロジック側の層を分けて組み立てます。データと運用・セキュリティは、後の各節で扱います。

すべてをUnreal Engine内に実装すると、画面の変更と業務ルールの変更が絡み合います。その結果、テストや他システムとの連携が難しくなります。

3D・操作・シミュレーション層

画面側で実装する範囲と、将来の変更のしやすさを考えて、3D機能と業務ロジックを分けます。

  • 実装する機能:モデル、カメラ、照明、アニメーション、物理挙動、入力、シナリオ、結果表示
  • 言語の使い分け:試作や簡単な処理はBlueprint、高性能処理やデバイス連携、共通ライブラリはC++
  • ロジックの分離:API呼び出しや計算ルールをテストしやすくして、Blueprintへの集約による改修負担を抑える

高精細モデルは、GPUやメモリに大きな負荷をかけます。そのため、目標フレームレートや解像度、同時表示数、端末の熱、ロード時間を要件に含めます。

特に、現場で使う端末での性能確認が欠かせません。高性能なPCで動いても、現場のノートPCやVR端末で同じように動くとは限りません。

API・データベース・既存システム

業務データの管理と連携を担うバックエンドでは、次の役割を設計します。

  • 管理データ:ユーザー、設備、製品、部品、工程、在庫、センサー、訓練結果
  • 連携手段:REST・GraphQL API、WebSocket、MQTT、OPC UAを使い分けて、DBや基幹システムへ接続
  • 業務データの正:バックエンドで管理し、画面には表示や操作に必要なデータだけを渡す
  • 業務制御:認証、権限、承認、監査ログ、排他制御、再送、エラー通知を設計

設備の更新に失敗しているのに画面だけ成功と表示すると、現場の判断を誤らせます。そこで、通信失敗やデータの古さ、更新中であることを画面に示し、業務側で再実行や確認ができるようにします。

3Dアセット・配信・運用基盤

3Dアセットは業務データと分けて管理し、用途に合う配信方式を選びます。

  • アセット管理:モデルなどの版、作成者、権利、利用範囲、更新日、軽量版、承認者を記録
  • データ変換:CAD・BIMの座標や単位、命名、ポリゴン数をそろえる
  • 配信:PCや専用端末へのインストール、ブラウザ配信、VR機器への配布から選ぶ
  • ストリーミング:端末の負荷を下げやすい一方、遅延やGPU費、同時接続、障害時の代替策が課題になる
  • オンプレミス:低遅延と機密性に強い一方、端末の更新と配布は自社で管理する

Unreal Engineのシステム開発の進め方

目的と業務データの整理からPoC、設計とテスト、段階導入、運用改善へ進む開発工程図。
小規模な検証を経て対象範囲を広げる流れです。

まず目的と業務、データを整理し、そのうえでPoCを行います。要件定義から段階導入、運用改善までは、次の各節の順に進めます。

全拠点や全製品、全シナリオを一度に対象にせず、小さな範囲で価値と技術リスクを確かめてから広げます。

▶ 詳細はこちら:Unreal Engineのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

目的・KPI・現場業務の定義

業務成果を評価できるように、目標と現場業務の整理では次の点を決めておきます。

  • 成果目標:「何を3Dで見せるか」より、どの業務成果を変えるかを決め、レビュー期間や教育時間、試作回数、停止リスクを数値で表す
  • 現場情報:紙や電話、表計算、個人管理データ、表記の揺れ、例外処理、マスタの責任者を洗い出す
  • AXの視点:業務の標準化が不十分なまま画面にせず、標準化する業務と見せる情報を決める

目標を映像品質だけに置くと、完成後に業務効果を評価できなくなります。

代表データと端末によるPoC

PoCでは、代表的な3Dデータを少量使い、1画面または1シナリオに絞って進めます。次の項目で、本番時のリスクを確かめます。

  • データ:取り込み、座標、単位の整合
  • 性能:目標フレームレート、ロード時間
  • 連携:API接続、センサー更新、同時利用者数
  • 利用:操作性、VR酔い、オフライン時の挙動

評価は映像デモの完成度ではなく、本番で問題になる条件を再現できたかで行います。

終了条件には、指定時間内のデータ読み込みや端末でのフレームレート維持、異常通信の再送、指定シナリオの完了などを定めておきます。

成功条件が曖昧なまま続けると、試作費ばかりが増え、本番判断が遅れます。

要件定義・設計・開発・テストの進め方

本番化では、要件定義から段階展開までを次の順で進め、そのつど確認します。

  1. 性能や可用性、拡張性、セキュリティ、データ保持を定義する。さらに、バックアップや復旧時間、同時接続数、端末、通信障害時の動作も定義する。
  2. 3Dアセットの制作範囲や、発注者が提供するCAD・BIM・点群の扱い、データ移行とマスタ整備の担当を文書にまとめる。
  3. 実装後は、単体、API連携、端末別の性能、データ更新、権限、障害復旧のテストを行い、現場での受け入れも確認する。
  4. 誤操作時の安全性、監査ログをたどれるか、バックアップからの復元を確かめる。
  5. 1拠点や1工程など小さな単位から段階的に展開し、KPIを確認しながら対象を広げる。

ポイント

全体を一度に広げず、PoCで代表データと端末の条件を確かめてから、要件定義と段階導入へ進めます。目的とKPIを先に決めておくと、PoCの成否も判断しやすくなります。

Unreal Engineのシステム開発費用相場

Unreal Engineを使う業務システムに一律の公表相場はありません。そのため、次の概算は、一般的な業務システム費に3Dアセット、シミュレーション、GPU、VR機器、データ変換、外部連携の工数を加味して算出しています。

要件や範囲によって金額は大きく変わります。正式な予算は、PoCと要件定義の後に確定させます。

▶ 詳細はこちら:Unreal Engineのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

規模別の開発費と期間の目安

規模別の概算額と期間は次のとおりです。ただし、金額は初期のレンジで、対象範囲によって変わります。

  • 小規模PoC:300万〜800万円、1〜3か月
  • 製品ビューア等:800万〜2,000万円、3〜6か月
  • VR教育・訓練:1,500万〜5,000万円、6〜12か月程度が目安
  • デジタルツイン:3,000万〜2億円超、9〜24か月程度になる場合がある
  • 自動車HMI等:5,000万〜数億円、12〜36か月程度が目安

小規模PoCは既存の3Dデータを少量使い、1画面・1シナリオ・限定端末で確認します。ビューア等には、CAD変換、色・部品切替、簡易API、PCまたはタブレット対応を含みます。

VR教育等には、シナリオや操作、VR機器、結果記録、管理画面が含まれます。デジタルツインは、LiDARやBIM、GISなどの元データを扱うぶん、規模が膨らみます。さらに、IoTや時系列データ、DB、複数拠点、権限、運用基盤も、規模を押し上げます。

自動車HMI等は、高精度な挙動、センサーや制御との連携、安全性と性能の検証、専用ハード、アセット整備を含みます。

これらは相場を断定するものではなく、初期のレンジです。一般的な業務システム費に、Unreal Engine案件で増える工程を組み合わせた推定です。

費用を左右する内訳

見積書では、開発工程と運用費を分けて、次の項目を確認します。

  • 開発:要件定義、3D制作、データ変換、Unreal Engineの実装
  • システム:API・DB、認証、テスト、データ移行
  • 環境:端末、GPU、クラウド
  • 導入後:教育、保守

3Dアセットを新規に制作するか、既存のデータを軽量化して使うかで、費用は大きく変わります。

保守費は、一般的な業務システムの考え方として、初期開発費の年15〜20%程度を見込む場合があります。たとえば、初期費用が3,000万円なら、年間450万〜600万円が計算例です。

アセットの追加、Unreal Engineの更新、OSやVR機器への対応、脆弱性対応、クラウドやGPUの利用料は、別費用になる場合があります。そのため、見積書で含有範囲を確認します。

ライセンス・ロイヤリティ

ライセンス条件は、企業の年間総収益やアプリの提供形態によって異なります。

  • Unreal Subscription:UE 5.4以降を使う年間総収益100万米ドル超の企業は、1席あたり年1,850米ドル
  • ロイヤリティ:生涯総収益100万米ドル超の部分に5%が発生する条件がある

1ドル150円で単純換算すると約27万8,000円です。地域価格や為替、契約時点の条件で変わるため、導入時に公式の最新条件を確認します。

第三者へライセンスする非ゲームアプリで、実行時にUnreal Engineのコードを使う場合が対象です。

社内利用や外部向けSaaS、製品コンフィギュレーターでは、条件が異なる可能性があります。契約、配布形態、収益の定義は、法務と確認します。

ポイント

費用は、アセットや端末、ライセンス、保守を分けて見積もり、初期費用だけでなく数年後の総額で比べます。

パッケージ・クラウド・スクラッチの選び方

既存ツールを使うか、クラウドで配信するか、専用アプリを作るかも比較します。選択に影響するのは、業務内容や3Dデータ量、利用場所、機密性です。加えて、通信、同時利用者数、更新頻度も確認します。

既存パッケージ・ビューアの活用

既存ツールで目的を満たせる場合は、足りない表示や操作だけを拡張する選択肢もあります。

  • 候補:CAD・BIMビューア、デジタルツイン基盤、シミュレーション・可視化ツール
  • 利点:短納期で始めやすく、標準機能の保守も利用できる
  • 制約:データ形式や業務フローに制限があり、独自物理モデルや複雑なシナリオは難しい場合がある

導入費に加え、API連携、データ変換、権限、追加ライセンス、サポート範囲、データ持ち出しの可否を確認します。

標準機能と追加開発の範囲を一覧にすると、導入後の想定外費用を抑えやすくなります。

クラウド・ストリーミング方式

クラウド方式は、高性能GPUから利用端末へ映像を配信し、多拠点展開に使えます。

  • 端末運用:端末の更新やインストールの負担を減らしやすい
  • 通信・サーバー:遅延や切断、GPUの同時利用数、障害時の運用を設計する
  • 情報保護:映像と入力を保護し、必要なデータだけを取得する

機密図面や個人情報は、端末に長期保存しないようにします。キャッシュの暗号化やログアウト時の削除、画面録画やスクリーンショットも検討します。

通常時だけでなく、低速回線や一時的な切断も含めて、現場で試します。

オンプレミス・フルスクラッチ方式

現場の遅延や通信、機密に関する要件と、独自機能の必要性をもとに方式を選びます。

  • ネイティブ配備:低遅延やオフライン、機密性が重要な工場や訓練施設に向き、性能も安定させやすい
  • 端末運用:調達、キッティング、配布、更新、GPU交換、バックアップを担う。更新漏れは脆弱性や版の差につながる
  • フルスクラッチ:独自センサーや専用HMI、複雑な物理モデル、固有の業務フローがある場合に選択肢になる
  • 引き継ぎ:自由度は高い一方で、UE版への依存、専門人材や文書の不足、ロックインが課題になる。設計・テスト書、ソース、アセット、ビルド手順は納品物に含める

セキュリティと導入後の運用での注意点

個人情報と機密データの保護を、取扱条件、アクセス制御、端末保護の3項目で示した図。
3つの観点をそろえて設計範囲を確認できます。

画面には、個人情報や位置情報、従業員の訓練履歴などが表示される場合があります。さらに、顔や音声、工場や車両の機密情報も扱うことがあります。そのため、描画性能だけでなく、閲覧できる人や端末に保存するデータ、操作履歴の保持期間も、業務要件とあわせて決めます。

個人情報・機密データを守る設計

個人情報・機密データは、取扱条件、アクセス制御、端末保護を分けて設計します。

  • 取扱条件:利用目的、取得範囲、保存期間、委託先、漏えい時の連絡手順
  • アクセス制御:認証、職務別権限、通信・保存データの暗号化、操作・閲覧ログ
  • 端末保護:保存データのパスワード・暗号化、鍵管理。営業秘密の3Dモデルにも権限制御

個人情報保護委員会のガイドラインは、事業規模やデータの性質・量、記録媒体のリスクに応じた安全管理措置を示しています(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」)。

端末に保存するデータの保護も、同委員会の安全管理措置で示されています(出典:個人情報保護委員会「不正アクセス等による漏えい被害を防止するための安全管理措置」)。

性能・復旧・監視の非機能要件

受け入れ条件は、3D画面の動作だけでなく、性能や障害対応まで具体化します。

  • 性能:フレームレート、表示・API応答時間、同時接続数、データ更新間隔
  • 継続性:稼働時間、バックアップ頻度、RTO、RPO、障害通知
  • 保護と監視:アクセスログ、脆弱性対応、利用制限、データ秘匿、追跡、ネットワーク対策

2025年のIPA/METI資料は、非機能要件のセキュリティ項目を整理しています(出典:IPA/METI「非機能要件」)。

項目には、リスク分析や診断、アクセスや利用の制限、データ秘匿が含まれます。さらに、不正追跡・監視、ネットワーク対策、インシデント対応・復旧なども挙げられます。

これらは、チェックリストだけで終わらせず、設計書やテストケース、運用手順に反映します。

バージョンと3Dアセットの継続管理

エンジンの版と周辺環境を検証したうえで、アセットや開発情報を引き継げる状態で保管します。

  • 版の選定:機能、プラグイン、端末、描画性能、ビルド環境を試し、長期運用できる版を固定
  • 更新計画:OS、GPUドライバー、VR機器、クラウド、認証基盤、外部APIも対象にする
  • 引き継ぎ:ソース、アセット、設定、ビルド手順、テスト環境、障害履歴、モデルの更新承認と権利を保管

2026年6月にUnreal Engine 5.8が公開され、公式発表はUE5最後の予定大型リリースと説明しています。

UE6の早期アクセスは2027年末を目標とする方針です(出典:Unreal Engine公式ニュース「State of Unreal 2026」「Unreal Engine 5.8 is now available」)。

一方で、最新バージョンへすぐ移行するのが正解とは限りません。

ポイント

画面に映る個人情報や機密データの扱いと、性能・復旧の要件は、開発に入る前に決めておきます。版やアセットの管理も、導入後に誰が担うかを決めておくと、運用で迷いにくくなります。

開発会社/ベンダーの選び方

Unreal Engineの経験年数だけで選ぶと、3Dデモは完成しても、業務データや認証、運用、保守が足りない場合があります。

ゲームや映像の実績に加えて、業務システムの要件定義から運用まで責任を持てるかを確認します。

業界知識とUnreal Engineの技術力

業務知識と技術の両方を確かめるため、次の内容を質問します。

  • 業務知識:製造、建設、自動車、医療、航空、物流等の用語や流れを理解する担当者
  • 技術体制:3Dに加え、API、DB、認証、ネットワーク、セキュリティを担う人材
  • 設計実績:Blueprint・C++、CAD・BIM・点群、大規模空間、VR・センサー連携の具体例
  • 案件実績:利用者、データ量、端末、更新頻度、性能、保守期間、担当範囲
  • 非公開案件:匿名化した要件定義、テスト計画、障害対応から実務の深さを確認

対応範囲と納品物の明確化

見積もりと契約では、実装範囲、提供データ、納品後の継続利用を明確にします。

  • 開発範囲:要件定義からPoC、3D制作・変換、実装まで。基盤、端末、テスト、教育、保守も対象に含めるかを明示
  • 提供データ:形式、品質、権利、更新責任。分担する場合は、連携責任者と境界を決める
  • 納品物:要件・基本設計、API・データモデル、テスト仕様、ソース、アセット、権利情報
  • 運用引継ぎ:ビルド・環境手順、監視、障害対応、更新方針、教育資料のほか、他社への引き継ぎと契約終了後の利用可否も決めておく

同じRFPによるPoCと総保有コストの比較

複数候補へ同じRFPを送り、比較する条件をそろえます。

初期見積が安くても、アセット追加やクラウドGPU、ライセンス、端末、版更新が別費用であれば、数年後の総額は高くなります。

提案では、できることと前提条件に加え、できないことも説明しているかを見ます。

  • 環境:対象端末、3Dデータ形式、同時利用者数
  • 基盤:API・DB、認証・ログ
  • PoC:対象範囲、成功条件
  • 契約:アセット権利、納品物、保守SLA

データ移行や現場教育、障害時の代替、セキュリティ診断、引き継ぎが曖昧な提案には注意が必要です。あわせて、PoC、本番、保守の担当者と意思決定の流れも確認します。

▶ 詳細はこちら:Unreal Engineのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:Unreal Engineのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

業務知識とUnreal Engineの技術力の両方を確かめ、要件定義から運用、保守まで担える会社を選びます。同じRFPで複数社の見積もりを比べ、対応範囲と納品物を契約前にそろえます。

よくある質問(FAQ)

導入時によくある質問として、できること、費用、他方式との使い分け、保守の要点を取り上げます。

Unreal Engineのシステムでは何ができますか?

工場や都市のデジタルツイン、製品ビューアを構築できます。コンフィギュレーターや車両・設備のシミュレーターも作れます。VR教育や防災訓練、HMIにも使えます。

3D空間の操作やリアルタイム表示が業務成果につながる場合に向いています。一方で、認証や権限、DB、承認、監査ログは別途設計が必要です。

小規模なUnreal Engineシステムはいくらですか?

既存データを使う小規模PoCは300万〜800万円、1〜3か月程度が目安です。製品ビューアや簡易コンフィギュレーターは800万〜2,000万円程度の場合があります。

3Dモデルを新規に制作するか、APIや認証、VR端末、クラウドGPUを含めるかによって変わります。そのため、範囲と前提をそろえて見積もります。

通常のWebシステムやUnityではなくUnreal Engineを選ぶ基準は何ですか?

高精細なリアルタイム3D、大規模空間、物理挙動、シミュレーション、専用デバイス連携が重要なら検討できます。

一覧、申請、帳票、会計が中心なら、通常のWebシステムや既存パッケージが適しています。

PoCで同じ業務課題を2D画面と3D画面で比べ、効果と運用負担を確認すると判断しやすくなります。

導入後の保守で特に注意することは何ですか?

Unreal Engine、OS、GPUドライバー、VR機器、外部API、3Dアセットは、継続して管理します。あわせて、モデルの更新責任とバージョン固定も決めておきます。

脆弱性対応やバックアップ、障害時の連絡先、引き継ぎ用のソースや手順を整えます。公開後も性能とKPIを見直し続けます。さらに、使われていない機能や古いデータも定期的に確認します。

まとめ

Unreal Engineのシステムは、リアルタイム3D、空間操作、物理シミュレーション、VR、デジタルツインを業務に取り入れる仕組みです。

業務基盤そのものとは考えず、3D・操作層と、API、データベース、認証、監査ログ、運用基盤を分けて設計します。

導入判断で押さえるポイント

3D・リアルタイム性が業務成果に直結するか、Webシステムやビューアで代替できないか、データを継続更新できるかを確認します。

費用は、PoC、ビューア、訓練、デジタルツイン、HMIで異なります。そのため、アセットや変換、端末、GPU、クラウドの費用を分けて見ます。ライセンスと保守も、別に見ておきます。

金額に加え、数年後の総保有コストと運用体制を比べます。

最初に行うべきこと

導入前に課題と検証条件を固め、小規模な検証から本番へ進めます。

  • 検証準備:現場の課題やKPI、代表的な3Dデータ、端末、連携API、同時利用者数、PoCの成功条件を整理
  • 発注先:業界知識やUnreal Engine、バックエンド、セキュリティ、アセット運用、保守について相談できる会社を比べる
  • 展開:大規模契約から始めず、小さく検証して効果が確認できた範囲を広げる

▼関連記事一覧
・Unreal Engineのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・Unreal Engineのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・Unreal Engineのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・Unreal Engineのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

 

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。