Googleは2026年9月2日、Gemini 3.8 Flashと、脆弱性の検出・自動パッチ適用に特化したGemini 3.8 Flash Cyberを発表しました。通常版は開発者や企業、個人向けに複数のGoogleサービスから利用でき、Cyber版はFairwind Programを通じて信頼された防御者に提供されます。
3.8 Flashの有料Standard料金は、2026年12月31日まで入力100万トークンあたり0.75ドル、出力100万トークンあたり3.75ドルです。3.7 Flashと同じ導入価格であり、長時間のソフトウェア開発や自律エージェントを低い単価で試せる一方、複雑な処理では思考トークンやツール呼び出しが増える場合があります。
企業が確認すべき点は、価格表の数字だけではありません。3.8 FlashとFlash Cyberは利用できる組織や安全策が異なるため、自社の業務評価、データの境界、脆弱性対応の承認手順まで分けて考える必要があります。
※本記事は2026年9月29日時点の情報です。

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Gemini 3.8 FlashとFlash Cyber|同じ基盤から2つの提供先
Gemini 3.8は、用途に応じて2つのモデルに分かれています。Gemini 3.8 Flashはソフトウェアエンジニアリング、エージェントタスク、専門領域の多段階推論を対象にした通常版です。APIでは gemini-3.8-flash というモデルIDで指定します。
開発者向けにはGoogle AI Studio、Google Antigravity、Android Studio、Stitchが用意されています。企業向けの窓口はGemini Enterpriseです。個人向けはGoogle AI ProまたはUltraのGeminiアプリ、Google検索のAI Mode、GoogleスプレッドシートのGeminiです。企業の検証環境では、Gemini Enterprise Agent Platformの役割も確認対象です。
Flash Cyberは、同じ基盤知能を使いながら、脆弱性の自律検出と自動パッチ適用に軸足を置いたモデルです。通常版よりサイバーセキュリティ用途への制約を緩めた設定であるため、Googleは包括的なサイバー能力を必要とする信頼された防御者だけに、Fairwind Program経由で提供しています。
ポイント
3.8 Flashは通常の開発・業務自動化向け、Flash Cyberは防御目的のサイバー作業向けです。同じ「Gemini 3.8」でも、利用先とアクセス条件は同じではありません。
料金|2026年末までの導入価格と2027年の標準価格
Gemini 3.8 FlashのStandard料金は、2026年12月31日まで入力100万トークンあたり0.75ドル、出力100万トークンあたり3.75ドルです。出力料金には思考トークンが含まれます。
2027年1月1日からは入力1.50ドル、出力7.50ドルへ移行します。
※1ドル=150円で換算。3.8 Flashと3.7 Flashは、少なくともStandardの主要料金が同じです。2027年の価格まで含めると、短期の検証費用と本番運用の予算を分けて計算する必要があります。
| 項目 | Gemini 3.8 Flash | Gemini 3.7 Flash |
|---|---|---|
| 入力(100万トークン) | 2026年末まで0.75ドル(約113円) 2027年から1.50ドル(約225円) | 2026年末まで0.75ドル(約113円) 2027年から1.50ドル(約225円) |
| 出力(100万トークン、思考トークン込み) | 2026年末まで3.75ドル(約563円) 2027年から7.50ドル(約1,125円) | 2026年末まで3.75ドル(約563円) 2027年から7.50ドル(約1,125円) |
| コンテキストキャッシュ入力(100万トークン) | 0.075ドル(約11.25円) 2027年から0.15ドル(約22.5円) | 0.075ドル(約11.25円) 2027年から0.15ドル(約22.5円) |
| キャッシュ保存(100万トークン・1時間) | 2026年末まで0.50ドル(約75円) 2027年から1.00ドル(約150円) | 2026年末まで0.50ドル(約75円) 2027年から1.00ドル(約150円) |
Cyber版はFairwind Program経由の限定提供で、一般向けの料金表には含まれていません。
ポイント
3.8 Flashは3.7 Flashと同じ導入価格ですが、価格は2027年に倍になります。試験段階から本番の1タスク総額を測り、価格改定後も運用できるかが判断材料です。

3.7 Flashとの比較|単価は同じでも評価対象を分ける
3.8 Flashは3.7 Flashと同じStandard単価です。Googleはソフトウェアエンジニアリング、エージェントタスク、専門領域の多段階推論で3.7 Flashから大幅に改善したと説明しました。DeepSWE v1.1では、大規模なフロンティアモデルの多くを上回ったという結果です。
一方、3.8 Flashは複雑なタスクで追加の推論ステップや反復的なツール呼び出しを行い、トークンを多く使う場合があります。低いeffort設定で計算量を抑える方法もありますが、品質を下げてよい業務かどうかを先に決めることが前提です。
Googleは3.8 FlashがHLE-Verifiedで54.9%を記録したと発表しました。Vals Finance Agent V2とHarvey’s Legal Agent Benchmarkでも、3.7 Flashや他のフロンティアモデルを上回ったとしています。これらはGoogleが示した評価結果です。自社の業務で同じ成果が出るとは限らないため、AI生成コード時代のコードレビューのように、人が確認する工程まで含めた比較が必要です。
切り替え前には、コード修正、ツール呼び出し、業務文書、専門領域の質問から評価セットを作ります。品質、レイテンシー、1タスクあたりの入力・出力トークン、再試行回数、手動修正の時間を3.7 Flashと並べることが、単価以外の差を測る材料です。
ポイント
3.8 Flashへの切り替えは、ベンチマークの順位だけで決めません。自社の仕事で品質が上がり、再試行や手動修正を減らせるかを、総トークン量と処理時間で測ります。
Flash Cyberの性能|発見からパッチまでを防御用途に寄せる
Gemini 3.8 Flash Cyberは、脆弱性を見つけるだけでなく、修正案を作るところまでを主な対象にしています。GoogleはCyberGymで3.5 Flash Cyberと大規模なフロンティアモデルを上回ったと説明しました。
20言語にまたがる複雑なコードベースの社内ベンチマークでは、脆弱性発見の成功率が70%を超えたとしています。これはGoogle社内の評価結果です。一般的な脆弱性検出率や、導入後の修正件数として扱う数字ではありません。
パッチ適用の評価では、外部のCWE-Benchでpass@1が47.2%でした。比較対象のFable 5は47.8%で、Googleは3.8 Flash Cyberの方が大幅に低コストだと説明しました。精度が近くても費用が異なるケースを示す結果であり、検証条件と自社のコードベースをそろえて読む必要があります。

自社で試すなら、検出率だけでなく誤検知、未検出、パッチによる回帰、検証にかかった時間を記録対象にします。セキュリティ特化モデルの選択肢を比べるときは、AWS Bedrockのセキュリティ特化モデルDaybreakのような別の方式も含め、テストと人間の承認を通す設計が前提です。
ポイント
Flash Cyberのベンチマークは、脆弱性対応を自動化する可能性を示す結果です。採用時は発見率だけでなく、誤検知、回帰、検証時間、承認者の役割を評価項目にします。
Fairwind Program|防御者限定の提供方式と導入前チェック
Fairwind Programは、政府、国家サイバー当局、重要インフラ運用者、コア技術プラットフォームなどを対象にした限定アクセスプログラムです。申請組織のセキュリティ履歴と倫理的な運用実績を審査します。承認後もアクセスは管理対象です。
Fairwindで許可されるのは、認可済みの脅威シミュレーション、リバースエンジニアリング、マルウェア分析など、防御・学術研究目的の作業です。対象外の組織には、公開モデルとCodeMenderを組み合わせてコードを保護する選択肢が案内されています。
CodeMenderはGemini Enterprise Agent Platform上のコードセキュリティエージェントです。脆弱性を見つけ、顧客管理の環境やサンドボックスで検証し、パッチを生成します。提案パッチは開発者がレビュー・承認してから適用する仕組みです。Fairwind対象の3.8 Flash Cyberを同プラットフォームで直接使う場合、ゼロデータ保持にも対応する仕様です。APIのデータ保護を比較するときは、OpenAIのゼロデータリテンション拡充も参考にしてください。
- 対象資格:自社が政府、重要インフラ、コア技術プラットフォームなどの対象に当たるかが確認対象です。
- 利用者:社内のセキュリティ、インシデント対応、ペネトレーションテスト部門への限定が必要です。
- 認証と記録:フィッシング耐性MFA、アクセス制御、利用ログの管理方法を決めます。
- 承認手順:検出、検証、パッチ生成、テスト、開発者承認の境界を明確にすることが要件です。
ポイント
Flash Cyberは、性能だけでなく提供方式そのものが製品の一部です。Fairwindの資格と統制要件を満たさない企業は、通常版や公開モデルを使う経路を別に設計します。
よくある質問
Q. Gemini 3.8 Flashの料金はいくらですか?
2026年12月31日までは、Standardの入力が100万トークンあたり0.75ドル、出力が3.75ドルです。2027年1月1日からは入力1.50ドル、出力7.50ドルになります。
Q. Gemini 3.8 Flashと3.7 Flashはどちらを選ぶべきですか?
Standard料金は同じです。3.8 Flashは3.7 Flashからソフトウェアエンジニアリング、エージェントタスク、多段階推論で改善したとGoogleが説明しています。自社の品質、速度、総トークン量、再試行回数を評価して選びます。
Q. Gemini 3.8 Flash Cyberは誰でも使えますか?
誰でも使える一般公開モデルではありません。Fairwind Programを通じた、政府、重要インフラ運用者、コア技術プラットフォームなどの信頼された防御者向けの限定提供です。
Q. Fairwind Programの対象外企業はサイバー対策にGeminiを使えますか?
対象外の組織には、公開モデルとCodeMenderを組み合わせてコードを保護する選択肢が案内されています。検出、検証、パッチ生成、開発者承認の手順を自社の環境で確認後に導入する手順です。
まとめ
Gemini 3.8 Flashは、2026年末まで入力0.75ドル、出力3.75ドルという導入価格で、長時間のソフトウェア開発や自律エージェントを試せるモデルです。3.7 Flashと単価は同じですが、複雑な処理ではトークン使用量が増える場合があるため、タスク単位の費用を測ります。
Gemini 3.8 Flash Cyberは、脆弱性の検出と自動パッチ適用を防御者向けに提供します。Fairwind Programの対象資格、認証、利用記録、開発者承認を確認し、自社のコードとセキュリティ工程に合う場合だけ検証を進めることが導入の出発点です。
ポイント
まず通常版で自社タスクの品質・速度・総コストを測り、Cyber版を検討する企業はFairwindの資格と統制を確認します。ベンチマークの数字だけでモデルを決めず、承認まで含む運用で評価することが重要です。
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